カナダ首相に打撃、牙城トロント選挙区でまさかの敗北-退陣圧力も

AI要約

トロント中心部で行われた補欠選挙で、保守党が与党自由党を破り、首相トルドーに打撃を与えた。

選挙結果はトルドー首相に対する信任投票と位置づけられ、自由党の伝統的な強さに揺さぶりをかけた。

保守党は経済問題や国内の不満を訴え、イスラエル支援問題も争点となった。

カナダ首相に打撃、牙城トロント選挙区でまさかの敗北-退陣圧力も

(ブルームバーグ): カナダ最大都市トロント中心部の選挙区で24日実施された補欠選挙で、野党・保守党が勝利した。このセント・ポール選挙区は1993年以来、与党・自由党が毎回議席を維持してきたいわば牙城で、来年実施が予定されている総選挙を控え、トルドー首相には大きな打撃となる。

選挙管理当局の暫定データによると、保守党のドン・スチュワート候補が42%を獲得。得票率40%強だった自由党のレスリー・チャーチ候補を破った。開票作業が始まって以降、チャーチ氏がほぼ一貫してリードしていたが、未明になってスチュワート氏が逆転した。

これにより連邦議会の勢力図が変わるわけではないが、今回の選挙はトルドー首相にとって事実上の信任投票と位置づけられていた。最近の世論調査では、トルドー氏の支持率が低迷する一方、ポワリエーブル党首が率いる保守党の人気が急上昇しており、選挙結果は自由党にとって伝統的な聖域すら議席確保が危ういことを印象づけた。

ポール・マーティン元首相の側近を務めたスコット・リード氏はソーシャルメディア、X(旧ツイッター)に「これは自由党と首相にとってすべてを変えるものだ」と投稿。「セント・ポールが安全でないなら、安全な場所などない」と語った。

今回の敗北により、トルドー首相に対しては総選挙を前に退陣するよう圧力が強まりそうだ。自由党はトロントで常に大勝しており、2015年以来、自由党が政権を維持する上で寄与してきた。しかし、直近の世論調査で保守党は2桁のリードを保っており、総選挙でも支持率を維持できれば、過半数議席を獲得して政権を奪還する勢いだ。

次回選挙は2025年10月までに実施される予定だが、日程は変更される可能性がある。

保守党は今回、主に自由党の経済実績に焦点を当てた選挙戦を展開。景気低迷や住宅危機、高金利に対する有権者の不満をすくい上げた。

さらに同選挙区はユダヤ系住民が約11%を占めており、イスラエルとイスラム組織ハマスの戦争も争点となった。保守党はトルドー氏のイスラエル支援が不十分で、国内で高まる反ユダヤ主義への対応で失敗していると強調した。