ファミマの「無人トレーラー店舗」移動して1カ月、なぜ始めたの? 反響は?

AI要約

ファミリーマートが、大阪・関西万博工事現場内にてコンビニ初の「移動型無人トレーラー店舗」をオープンして1カ月が経過。利用客から好評を得つつ、出店理由や設備、展開について寺岡良輔さんに話を聞いた。

移動型店舗は「牽引式オフグリッド型モバイルハウス」を採用し、工事進捗に合わせて移動可能。製品選別など工夫を凝らし、工事現場に貢献する設計となっている。

セルフレジやファミペイアプリを導入し、商品の補充やセキュリティにも配慮。営業時間や温度管理も工夫され、限られたスペースでも高い満足度を提供。

ファミマの「無人トレーラー店舗」移動して1カ月、なぜ始めたの? 反響は?

 ファミリーマートが、大阪・関西万博工事現場内にてコンビニ初の「移動型無人トレーラー店舗」を5月13日にオープンしてから1カ月が経過した。同社広報担当の寺岡良輔さんによると「売り上げも計画通りに推移し、利用客からも好評」だという。しかし、なぜ移動式の店舗にしたのか。誕生した背景や設備、今後の展開について話を聞いた。

 移動型無人トレーラー店舗である「ファミリーマート舞洲/N店」は、竹中工務店と日立ハイテクによる「牽引式オフグリッド型モバイルハウス」を採用し、工事の進み具合に合わせて移動する。トレーラーを利用した移動型無人店舗の出店は、今回が初めてだ。

 店内には冷蔵・冷凍商品を含めた、約280種類の商品を取りそろえている。通常店舗は約3000種類を扱っていることから、比較するとかなり少ない。「商品の選別は2023年から工事現場内で運営している店舗および、移動販売車の販売実績などを加味した」(寺岡さん)

 ファミリーマートでは、2023年から万博工事現場内に店舗を出店している。そんな中、竹中工務店から「牽引式オフグリッド型モバイルハウス」の技術を転用する形で、現場内の労働環境、生産性の向上の実現に向けた相談を受けたことから、トレーラー型の店舗案が浮上した。

 トレーラー型店舗の特徴は、工事の進捗(しんちょく)や工事従事者数に合わせて販売場所を移動できること。これにより、工事現場の労働環境や生産性の向上に寄与する。

 2025年に開幕を控える大阪・関西万博では、「未来社会の実験場」というコンセプトが掲げられていることもあり、寺岡さんは「工事現場からも万博のコンセプトを実現しようという思いが店舗の実現を後押しした」と語る。

 店舗内には2台のセルフレジを設置したほか、ファミマのアプリ「ファミペイ」を使用した割引や商品引換特典なども利用できる仕様とした。

 店舗面積は約14平方メートルと、決して大きくはない。限られた空間の中でも満足度の高い店舗を実現するため、通常のコンビニで設置されている備品を置かないなど、工夫を凝らしている。

 「スペースが限られる中でも可能な限り多くの商品を提供するために、各建設事務所に電子レンジや給湯ポットを設置することで、店内の商品棚を広くするレイアウトにした」(寺岡さん)

 店舗内は設定した温度帯を超えると、エアコンが自動的にON/OFFするシステムを採用。商品の品質が保たれることに加えて、快適な買い物環境を提供できるようにした。営業時間は午前9時~午後5時と現場の労働時間に合わせている。

 基本的に無人で運営しているというが、商品の補充などはどうしているのか。商品は、母店となる店舗からクルマに積んで配送していて、原則的に母店に在籍するスタッフが開店前と閉店後に商品補充や清掃を実施している。営業中も販売動向などを見ながら、必要に応じて行っているそうだ。

 セキュリティ面については、自立電源システムを利用した防犯カメラで遠隔から店内を確認できるようにするなど、対策を施している。