宝幸、冷食撤退 チーズと常温に注力 統合シナジーで新たな売場を創出

AI要約

宝幸は25年3月をもって冷凍食品事業から撤退し、チーズ事業とフリーズドライを含めた常温食品に注力する方針を打ち出した。

24年度の新商品商談会で、統合シナジーや営業効率向上、新たな売場創出への取り組みなどを強調し、グループ内連携を一層強化する姿勢を示した。

また、続々と発売される新商品や市場戦略を通じて、常温食品部門での成長を目指す意向を明らかにした。

宝幸、冷食撤退 チーズと常温に注力 統合シナジーで新たな売場を創出

 宝幸は25年3月をもって冷凍食品事業から撤退し、伸長しているチーズ事業とフリーズドライを含めた常温食品に注力する。

 24年度はフリーズドライ食品と缶詰・レトルトなどを扱う常温食品の統合により、営業効率向上など統合シナジーを創出するとともに、グループ会社との連携を一層強化し、新たな売場創出にスピード感をもって挑む。

 6月11日、都内で開催した24年度秋季新商品商談会に先立ち行われた記者会で、小澤一郎社長がこれらの方針を明らかにした。

 冷凍食品撤退については「冷凍食品は非常にプレイヤーが多く競争が激しく、利益に結び付けるのが難しい」と判断に至った経緯を説明。これに伴い冷凍食品(チーズ加工品、しゅうまいなど)を製造する筑西工場(茨城県筑西市玉戸)は25年3月末で閉鎖する。OEM向けチーズ原料は供給を継続する。

 新たな売場進出に向けては「統合シナジー発揮」「商品開発のスピード」「製品の質と量」などを重視していく。

 福川善之常温食品事業部長は「常温食品は様々な売場展開が期待できる。昨今海外輸出や備蓄も見直されるなか、グループ唯一の常温部隊でまだまだ伸びしろがある」と説明する。

 9月発売の新商品「決め手はフリーズドライ!野菜のおみそ汁10食入り」は、野菜の具材感が楽しめてローリングストックにも役立つ5種×10食タイプ。

 即席味噌汁市場は近年生味噌タイプからフリーズドライに一定数シフトしているとの見立てのもと、提案を強化。「国内産いわし味付130g」は、魚介類の購入者が減少するなか、下処理なしの食べきりサイズと手ごろな価格で利便性を伝える。

 ロルフ事業部(チーズ事業)では、晩酌時のおつまみ需要を喚起する「ロルフ おつまみチーズ(サラミ入り)40g」(税込324円)ほか、ファミリー層に向けてチューブタイプのチーズソース「そのまま使えるチーズソース(カマンべールチーズ味)120g」(税込713円)を提案。かける、和えるなど様々な用途に使用でき、現在発売中の同チェダーチーズと2品体制で売場での存在感を発揮していく。

 業務用チーズの中でも注目の「DプロセスクリームチーズM1kg」は、ナチュラルクリームチーズがカットしにくいというユーザーの声を反映しダイス状で利便性を高めた商品。

 24年度の売場戦略として、ニッポンハムグループが強みとする日配売場に、ロルフ製品も積極的に進出していく。

 「シャウエッセン」(日本ハム)とクロス販売で大きな手応えがあったチーズフォンデュは、冬場だけでなく春夏の需要創出に向けたコラボ展開も検討。外食向けにはツナやコーン、チキンフレークなどの提案を強化する。

 24年度市販用・業務用の売上目標は、ロルフ製品計7品(うち1品リニューアル品)が4億9200万円、常温食品計4品が3億900万円。