フランスやイタリアなど7カ国、EUが過剰赤字手続き-対立必至か

AI要約

欧州委は、欧州連合内の7カ国に対して財政規律違反の是正を求める手続きを開始した。対象国は罰金を科される可能性がある。

フランスにとってこの発表は重要であり、総選挙を控える中、投資家を不安にさせている。

対象となった国はフランスやイタリアを含む7カ国で、負債の高止まりや増加が主な理由とされている。

(ブルームバーグ): 欧州連合(EU)の行政執行機関、欧州委員会はフランスやイタリアなど域内の7カ国に対し、財政規律違反の是正を求める「過剰赤字手続き」を開始した。対立の火ぶたが切って落とされた格好で、理論的には対象となった諸国に数十億ユーロの罰金が科される可能性がある。

総選挙を控えるフランスにとって、19日の欧州委員会の発表はとりわけ重大な意味を持つ。選挙で極右か左派のどちらかが勝利すれば、同国の財政はさらに肥大化するという見通しが、投資家を動揺させている。

欧州委は7カ国の財政赤字が域内で定める対国内総生産(GDP)比3%という上限を超えているとし、是正措置を義務づける。是正努力が不十分であれば、罰金を科す可能性もある。

欧州委は「財政が持続可能かという課題は、短期的にはすべてのEU加盟国で低いが、中長期的には幾つかの加盟国で高まりつつある。債務比率の高止まりや上昇が予測されているためだ」と説明した。

対象国の中では、フランスとイタリアが最も注目を集めている。それぞれユーロ圏第2位と第3位の経済大国であり、GDPの100%を超える負債を抱えていることが理由だ。両国のほかにベルギー、ハンガリー、マルタ、ポーランド、スロバキアが新たに対象となった。

総選挙を経て発足する次期政権がどのようなものになるにせよ、EUからの風当たりが強まるのは必至だ。マクロン大統領の与党は世論調査で現在3位にとどまり、リードする極右の国民連合(RN)と左派連合はEUにより対決的な姿勢を示している。

全面的な対立となれば、ギリシャなど重債務国の問題が市場の動揺を招き、単一通貨ユーロの存続が脅かされた欧州債務危機に並ぶ状況に発展する恐れもある。

マクロン大統領の選挙決定はすでに混乱を呼び、フランスとドイツ国債の利回りスプレッドは拡大、イタリアなどにも影響が及んでいる。フランス10年債のドイツ債に対する上乗せ利回りは欧州委の発表後、2ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)拡大の79bpと2017年以来の大きさを維持した。