フランス、EUが「過剰赤字手続き」-各党の選挙キャンペーンに制約

AI要約

欧州連合(EU)がフランスの財政赤字と債務に関する規則違反を問題視し手続きを開始する。罰金の可能性や総選挙での公約制約も影響する見通し。

フランスの財政赤字はGDPの5.5%、債務は約111%で、次期政権の公約実行能力に制約を与える可能性。

総選挙前の政治情勢を左右する可能性が高く、マクロンらの政権樹立も厳しくなる見通し。

(ブルームバーグ): 欧州連合(EU)はフランスがEUの財政赤字と債務に関する規則に違反しているとして手続きを開始する。罰金を科される可能性があるほか、月末に総選挙を控え各陣営がキャンペーンで強調する公約の制約にもなりそうだ。

EU規則は債務が国内総生産(GDP)の60%、赤字が3%を超える国に対する厳しい措置を定めている。フランスの昨年の財政赤字はGDPの5.5%、債務は約111%だった。

債務の規模は、次期政権が減税や年金改革巻き戻しなどの公約を実行する能力を制限する。マクロン大統領も極右政党「国民連合(RN)」を率いるマリーヌ・ルペン氏も、選挙が発表されて以降混乱が続いている市場をさらにおびえさせないよう留意するだろう。

EYの欧州・中東・インド・アフリカ(EMEIA)担当地政学戦略責任者、ファムケ・クルンミュラー氏は、「RNの計画を、金融市場が制限するだろう。誰が政権を握るにせよ、金融市場がどう反応するかによって制約を受けるだろう」と語った。

19日に発表されるいわゆる「過剰赤字手続き」対象リストに入るのはフランスだけではない。事情に詳しい関係者が18日ブルームバーグに語ったところによると、イタリアなど6カ国も含まれる。

ブルームバーグの世論調査によると、6月30日と7月7日に実施される仏総選挙を前に、RNが32.7%の票を獲得すると見込まれる。 社会党、共産党、緑の党、極左の「不屈のフランス」を含む左派連合「新人民戦線」は26.3%を獲得すると予想されている。マクロン氏の「再生(RE)」とその同盟勢力は3位となっている。

選挙後に政権を樹立する可能性が最も高い2グループ、新人民戦線とRNは、マクロン氏よりも財政支出やEU規則ついてより対決的な姿勢を示している。

全面的な対決になれば、一部の国の巨額債務に投資家がパニックを起こし、ユーロが危機に瀕した欧州債務危機に類似した状況になる。