ウェスタン旗艦債券ファンドが不調、それでも顧客には「辛抱」を期待

AI要約

米国の有力債券ファンドが2年の苦境を乗り越え、好転し始めている。

ウェスタン・アセットのCIOは経済とインフレの減速を確信し、長期債が上昇する見通しを維持。

一方、同社の旗艦ミューチュアルファンドは過去3年間のパフォーマンスで他を下回り、資金流出が続いている。

(ブルームバーグ): インフレ加速と金利上昇で痛手を被ってから2年が過ぎ、米国の有力債券ファンドの多くが徐々に状況を好転させ始めている。

ウェスタン・アセットの共同最高投資責任者(CIO)ケン・リーチ氏と同氏のチームは、経済とインフレの減速を確信しており、米連邦公開市場委員会(FOMC)の利下げが近づくのに伴い、長期債は上昇するという見方を維持している。ただブルームバーグがまとめたデータによれば、同社の旗艦ミューチュアルファンド「コア・プラス」は今年と過去3年のパフォーマンスが97%の同業ファンドを下回っており、特に運用成績が低迷しているファンドの1本だ。

これらの損失により、パシフィック・ ライフ・インシュアランスやフィデリティ・インベストメンツなどの投資家が撤退。モーニングスター・ダイレクトによれば、コア・プラスは5月まで30カ月連続で資金が純流出している。その結果、同ファンドの運用資産は194億ドル(約3兆600億円)と、2021年8月の直近ピークから54%減少した。これほど落ち込んだアクティブ運用の米大手債券ファンドは他にない。

ウェスタン・アセットの広報担当者は、現在の市場環境が厳しいことを認めつつも、同社の上位ファンドの多くが10年以上の長期運用で高いパフォーマンスを上げていることを指摘した。リーチ氏からのコメントは得られなかったという。

同広報担当は電子メールで「これまでを振り返れば、以前にも同じような状況下でパフォーマンスが回復したことがある」と続けた。

同広報担当は詳細への言及を避けながらも、コア・プラスを含めてファンドの幾つかには資金が流入していると説明。「短期的なボラティリティーによって、定評ある当社の長期的なファンダメンタルバリューへの投資の注力がそがれることはない」と語った。

リーチ氏は投資家に対し辛抱強さを求めている。先月のリポートで同氏は「成長鈍化、インフレ減速、リセッション(景気後退)を回避するためのFOMCの緩和的な政策」が基本シナリオで、これらすべてが「債券投資にとって前向きな背景だ」と主張した。先週は米インフレ統計を手掛かりにFOMCは早ければ9月に利下げを開始するとの見方が強まり、米国債が上昇した。