【10年ひと昔の新車】スバル インプレッサWRX STIの4ドアに待望の「スペックC」が登場した!

AI要約

10年前のスバル インプレッサWRX STI スペックC(4ドア)の試乗記を紹介。

スペックCはコンペティションモデルで、軽量化やレースでの勝負にこだわる。

性能や扱いやすさを高く評価されたスペックCは、走りと実用性を両立している。

【10年ひと昔の新車】スバル インプレッサWRX STIの4ドアに待望の「スペックC」が登場した!

「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前のクルマは環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は、スバル インプレッサWRX STI スペックC(4ドア)だ。

最近(編集部註:2012年)は、トコトン走りを追求したクルマが少なくなった・・・と、お嘆きの読者諸氏も多いかもしれない。そんな人たちのために、お待たせしました!とばかりに登場したのが、スバル&STIが送り出した、スパルタンなセダンモデル、インプレッサWRX STI スペックCだ。そのスポーツ魂を味わってみたい。

スペックCの「C」は「コンペティション(競技)」を意味しており、ラリーやレースでの勝負にこだわったモデルとしてラインアップされている。現行型(編集部註:2012年現在)のインプレッサではコンパクトなボディがラリーなどの狭い道では有利ということで5ドアハッチバックにしか設定されていなかったが、今回いよいよ4ドアセダンにも追加設定された。

5ドアと同様、軽量化を追求したスペックCゆえに例によってガラスは薄くされ、ボンネットはアルミ製。大きく見える3ボックス セダンのスタイルながら5ドア比で車両重量はわずか10kg増にすぎず、ベースモデルの4ドアSTIより40kgも軽く仕上げられている。

エンジンもボールベアリングターボを採用することで、最大トルクを0.8kgm高めるとともに、発生領域を1200rpm低い3200rpmとし、低速域での力強さとレスポンスを向上させ、より実戦的なセッティングが施されているのも従来のスペックCと同様だ。今回は一般道、高速道路、そして峠道と試乗してみたが、セダンボディのスペックCは従来の尖った印象が薄かった。それは悪い意味ではなく、実用にも十分に耐えられる扱いやすさに驚かされた。

まず、ボディの剛性感が高いことでサスの硬さが伝わりにくい。ボディがカチッとしているせいか、専用のハイグリップタイヤが路面をしっかりと蹴り上げているにもかかわらず、その振動を一発で収束。ボディが揺さぶられないことで、一瞬の硬さがあまり気にならない。以前に乗ったSTIチューンの「tS」がそうだったように、サスが硬くなっているにもかかわらず乗り心地が良くなっている、と感じたのと同じ印象だ。

ボディが揺さぶられないことで、ライントレース性も実に正確だ。4輪が個々にスムーズな動きを保ち続けてくれるので、路面外乱による進路の妨げが少なく、コーナー進入時の姿勢をキープしやすい。むしろ、ハンドルに返ってくる反力が小さすぎるくらいに安定していて、一般道で限界を見極めようとしても、とても無理だ。ニュルブルクリンクなどの超高速域までカバーしてくれるほどの限界の高さと、フットワークの良さがうかがい知れる。

エンジンは2000rpm後半にトルクがスッと立ち上がる。3000rpmを超えると、その勢いが一気に増すと同時に力強さも加わり、グングンと速度を伸ばしていく。ミラー越しに見える大きなウイングが少しばかり気恥ずかしく感じるが、後方視界も確保され、サーキットでも楽に、安心してバトルを楽しめそうだ。

それでいながら街乗りでは快適さを増し、ヨーロッパのプレミアムモデルのような走りの魅力を身につけていた。ネーミングはコンペティションでも、セダンの魅力を失わずに、上質な走りを身につけたことが、スペックC最大の魅力といえるだろう。より多くのファンに親しまれていくに違いない。

●全長×全幅×全高:4580×1795×1470mm

●ホイールベース:2625mm

●車両重量:1450kg

●エンジン:水平対向4 DOHCターボ

●総排気量:1994cc

●最高出力:227kW(308ps)/6400rpm

●最大トルク:430Nm(43.8㎏m)/3200rpm

●トランスミッション:6速MT

●駆動方式:フロント縦置き4WD

●燃料・タンク容量:プレミアム・60L

●JC08モード燃費:9.4km/L

●タイヤサイズ:245/40R18

●当時の車両価格(税込):369万6000円