【シニアの投資初心者の新NISA活用術】毎月の投資額は「貯蓄できる金額の半分」が目安、株式だけでなく債券にも分散投資を

AI要約

シニア世代が資産を増やすために投資を考える際、初心者は自己運用よりもプロによる投資信託が安全である。

投資の基本は「長期・分散・積立」であり、毎月少額ずつ複数の商品に分散して保有することが重要。

60才以上のシニアは株式だけでなく、債券などのリスクの低い資産にも投資することが賢明である。

【シニアの投資初心者の新NISA活用術】毎月の投資額は「貯蓄できる金額の半分」が目安、株式だけでなく債券にも分散投資を

 この人生100年時代を生き抜くため、できるだけたくさんの老後資金を抱えて生きていきたいと、投資を考えるシニア世代も多い。しかし、60才以上の初心者が投資をするとなると、当然ながらリスクが伴う。選択を間違って資産を失ってしまう可能性を考えると、自分で運用するのは少々危険だ。一方で、プロが運用してくれる投資信託は初心者のシニアでも手を出しやすい。

 新NISAやiDeCoでも主力商品は投資信託で、失敗しない投資の基本は「長期・分散・積立」。毎月少額ずつ、複数の商品に分散して、できるだけ長く保有するべきだ。証券アナリストでファイナンシャルプランナーの小川貴行さんが言う。

「非課税保有期間が無期限になるなどメリットが大きく、口座開設者数が爆増している新NISAにも、一気に大金を投資してはいけません。たとえ退職金など余裕があっても、はじめは全資産の3割くらいまでに抑えるのが目安です」

 毎月の投資額は「毎月貯蓄できる金額の半分」を目安にするといい。ファイナンシャルプランナーの野原亮さんが言う。

「退職金のうちあらかじめ決めた金額は銀行口座に残しておき、あくまでも余裕資金でリスクを抑えた運用とメンテナンスを。退職金を全額つぎ込むのはもってのほかです」(野原さん・以下同)

 少しの利益が出てもすぐに売ってはいけない。新NISAでの過度な「短期売買」は、せっかくの制度をフル活用できなくなるからだ。

「新NISAの非課税枠は年間360万円まで。その範囲内で売り買いを繰り返すと、年内で使える非課税枠をいたずらに減らすだけです」

 新NISAの商品では、1本で全世界の株式に分散投資できる「オール・カントリー(通称オルカン)」や、アメリカの代表的な企業500社に分散投資できる「S&P500」と名のつく商品が人気を集めている。だがこれらの投資対象はすべて「株式」のため、60才以上にはややハイリスクといえる。

「株式は値動きが激しく、一度暴落したらすぐには回復しません。例えば2008年のリーマン・ショック時は世界中の株式が半値以下になり、回復するまでに5年以上かかりました。もし今後、同規模の経済ショックに見舞われた際、60才以上では持ち直すまで待てる余裕がないこともあるでしょう。

 そう考えると、株式だけでなく、債券などの値動きリスクの低いものにも資産を分散させておくべきなのです」(小川さん)

 60才以降は資産を大きく増やすことよりも、減らさず守ることを優先すべき。それには、国内外の株だけでなく債券なども取り入れた「バランス型」と名のつく投資信託がおすすめだ。

「国内外の株式と債券に均等に投資する4資産均等型は、公的年金の運用と同じ比率で安心感が高い。自分で複数の商品を組み合わせるなら、株の比率は『100-年齢』にするのが定石です」(野原さん)