「バイ・アメリカ」、世界の投資家が安全資産求め掲げるスローガン

AI要約

世界の投資家がアメリカ市場に流入する理由として、自国の政治情勢や景気の緊迫化による打撃を受けていることが挙げられる。

現在はバイ・アメリカ取引が機能し続けており、アメリカ市場が安定した投資先として注目を集めている。

米国のクレジット市場にも海外投資家の関心が高まっており、米国経済が強気相場を牽引している状況が続いている。

(ブルームバーグ): 自国で政治情勢の緊迫化や景気伸び悩みによる打撃を受けた世界の投資家は、資金が集中している「アメリカ」市場に続々と乗り込んでいる。

TDセキュリティーズがまとめたEPFRグローバルのデータによると、ここ1カ月に株式ファンドに流入した新規資金約300億ドル(約4兆7220億円)のうち、94%がハイテク株を中心とした米国資産になだれ込んでいる。

今のところ、バイ・アメリカ取引は機能し続けている。この1週間で、S&P500種株価指数は、その他の国の株価指数を1年3カ月ぶりの大差で引き離して上昇し、長期年限の米国債は水準を3.5%切り上げ、年初来で最高のパフォーマンスとなっている。

欧州で選挙を巡る緊張が浮上し、中国では当局が景気下支えに向けた金融政策対応を余儀なくされる中、安定した投資先を渇望する世界のトレーダーにとって、潜在的な債務問題や政治的な溝が広がっているにもかかわらず、唯一の選択肢としてアメリカの存在感が強まっている。

海外の投資家は、米国のクレジット市場にもますます高い関心を寄せている。アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミスト、トルステン・スロック氏によれば、今年1ー3月(第1四半期)には、海外投資家が米社債に1870億ドルを投資。これは、前年同期比で61%の大幅増加になる。

リセッション(景気後退)の兆候がほとんどない状況下でのインフレ鈍化を示す米経済指標は、足元の強気相場を後押しし、ハイテク株比率の高いナスダック100指数は23年初め以降のトータルリターンが80%余りに拡大した。一方で、世界のその他の国に投資するファンドは打撃を受けている。

ウェルズ・ファーゴ・インベストメント・インスティテュートのシニアグローバル市場ストラテジスト、サミーア・サマナ氏は、米国について「依然として最も安定した国であり、AI(人工知能)・ハイテク関連企業の組み合わせは世界に比類なきものだ」と指摘。その優位性は「これらの要因が変化するか、適切な代替投資先が現れるまで、もうしばらく続くだろう」と付け加えた。