日銀会合とFOMC後の会見でわかる「社会の違い」――なぜ日本はアメリカとこんなにも違うのだろうか

AI要約

アメリカと日本の金融政策会合後の記者会見の違いについて述べられている。

アメリカの記者会見では攻撃的な質問が多い一方、日本の記者はマイノリティとして指名されることが少ない。

日本の記者が質問した際、FRB議長は為替に関する質問に対し、答えることなく締めくくったというエピソードが述べられている。

日銀会合とFOMC後の会見でわかる「社会の違い」――なぜ日本はアメリカとこんなにも違うのだろうか

 「なぜ、日本はアメリカとこんなにも違うのか?」

 いきなりこんなことを書くと、「オバタはまた何を言い出すんだ、そんなものは当たり前だろう」と言われるだろうが、しかし、なぜだ?  

■FOMC後の記者会見で驚いた「3つのこと」とは? 

 それは、中央銀行の金融政策決定会合後の記者会見の質疑を見ればわかる。

今週はまず11日~12日にFED(アメリカの中央銀行)のFOMC(連邦公開市場委員会)があり、12日の14時半(日本時間13日3時半)から、ジェローム・パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長の記者会見が行われた。

 アメリカは常に自由でオープンでフェアだと思われているが、実態はまったく異なる。この記者会見でも、必ず有力記者から順番に質問を受ける。記者たちは自信満々に、時には攻撃的に、しかし、専門的に的確にパウエル議長を追い詰めるから、ここでの迫真の議論は大変興味深い。日本銀行の会見では認められていない「更問(さらとい)」=「follow up question」も1回まで認められており、ほとんどの記者がこれをするから、パウエル議長も言い逃れ答弁はできないのだ。

 さて、12日の記者会見では、いつもと違う驚くべきことが3つあった。1つ目は、私が大のファンであるニューヨークタイムズのジーナ・スミアレック記者(ちなみに彼女はニューヨーク大学経営学修士の資格を持つ)が、更問をしなかったことだ。なぜか、質問に元気がなかったし、少し心配だ。

 2つ目は、日本の記者が質問したことだ。これは、私が会見を見だしてからは初めてのことだった。史上初ではないと思うが、実は、FOMC後に記者会見が行われるようになったのは比較的最近のことで、2011年4月からである。しかも、年8回のFOMC後毎回会見となったのは2019年からで、それまでは年4回だった。

 前述の通り、質問は有力記者から当てられるのが通例で、記者たちは必ず質問するから、他国の記者などの「マイノリティ」(人種という意味ではなく)には、ほとんど質問の機会はないし、初顔はほとんどないのである。

 しかし、なんと日本の新聞社の記者が指名されたのである。質問は「ドル高は日本やそのほかの新興国の経済を苦しめているが、ドル高はアメリカ経済にとってはどうなのか」という趣旨のものだったが、議長はけんもほろろに「そんなの知らん。それは財務省の管轄だ」というだけで、ほぼ終わっていた。「為替なんか聞くな、アメリカ以外のことなんか知るか、聞くな」、と言わんばかりであった。