【三大都市でひとり負け】大阪に迫り来る人口減の厳しい未来「名古屋にも抜かれ、若者も高齢者も東京に流出」、東京への対抗意識の弊害も

AI要約

大阪での人口減少が進行しており、高齢化や若者の流出が課題となっている。

外国人の流動的な存在や、産業構造の違いが将来的な人口減の要因となっている。

大阪圏は若者を東京圏に送り出す最大エリアであり、結果として出生数も減少傾向にある。

【三大都市でひとり負け】大阪に迫り来る人口減の厳しい未来「名古屋にも抜かれ、若者も高齢者も東京に流出」、東京への対抗意識の弊害も

 1970年の大阪万博は、日本の高度成長期を象徴するイベントだった。世界から6400万人以上が訪れ、大阪の街は活気に溢れた。一方、55年ぶりの万博開催まで1年を切った今の大阪に、当時のような高揚はあるだろうか。インバウンドの活況がある一方、“維新旋風”には陰りが見え、衰退が加速しているとするデータもある。東京に次ぐ“ニッポン第二の経済圏”の中心地で今、何が起きているのか。

 2050年、大阪府の人口は約884万人(2020年)から17.8%減少する──。

 厚生労働省の「国立社会保障・人口問題研究所」は昨年末の発表でそう推計した。同推計で愛知県は11.5%の減少、東京都は2.5%の増加とされており、三大都市のなかで「大阪のひとり負け」の状況だ。

 累計100万部を超えるベストセラー『未来の年表』シリーズの著者・河合雅司氏は、その背景をこう解説する。

「まず、東京や愛知に比べ、大阪では高齢化が顕著に進んでいることが挙げられます。今年改定された『介護保険料』を見ると、大阪市が全国最高額(月額9249円)となり、上位は大阪の自治体が独占した。これは大阪で高齢者、とりわけ低所得の独居者の数や割合が大きいことを示しています。

 また、大阪は外国人住民が人口を押し上げている側面もあります。特に大阪市は15万人以上が住んでいて全国の市区で最多です。しかし外国人の人口というのは流動的で、コロナ禍のような非常事態には一気に去っていくし、今のような円安が続くと働き先としての魅力が薄れた日本に来なくなる。外国人住民の多さも、大阪の将来的な人口減の要因になりえます」(以下、「 」内は河合氏)

 三大都市圏のなかで大阪を中心とする大阪圏(大阪、京都、兵庫、奈良)は、「東京圏や名古屋圏と比べて、衰退が早く訪れる」と見られ、すでに人口減少の傾向があるという。

「人口が減るとは、消費者が減っていくということ。そうなると福岡、札幌、仙台などの『商業都市』は息が続かなくなり、たとえ人口をそれなりに維持できても高齢化が進むためパイが広がらない。

 一方、名古屋、浜松、広島といった『工業都市』は雇用が残るためイノベーションを起こしやすく、人口や都市機能を維持できる可能性があります」

 その点、大阪圏は日本有数の産業集積地であり、企業数も多く、雇用が不足しているわけではない。しかし現在、高齢化に加えて若者の流出も課題だ。総務省の「住民基本台帳人口移動報告 2023年結果」によると、20代前半の東京圏への転出超過数は大阪府が1位、兵庫県が2位となっている。

「大阪圏は今、東京圏に若者を送り出す最大エリアになってしまっている。多くの大学があり、近隣県から学生が集まりますが、東京圏で就職する人が多いということ。大阪圏で就職して住み続けることに、若者が魅力を感じていないのでしょう。

 東京圏への若者の流出は、女性の割合も相当多いと考えられます。東京圏は金融、IT、サービス業などの企業が圧倒的に多く、女性が比較的活躍しやすいので人気がある。対して大阪圏は、女性が就業したいと思うような職種が少ない。そうした産業構造の違いが大阪圏の若者流出を加速させ、結果として出生数も減って高齢化がますます加速していくわけです」