出生率、「コホート」で見てみると~2023年人口動態統計月報年計

AI要約

厚生労働省が2023年の人口動態統計を公表しました。合計特殊出生率が過去最低の1.20となり、出生数は5.6%減少しました。

過去最低の出生率に対して、コホート合計特殊出生率の推移に注目する必要があります。コホート合計特殊出生率は生涯に産んだ子どもの数を示す指標で、人口動態の変化をより具体的に捉えることができます。

掲載された統計データを元に、今後の人口動態についての懸念が広がる中で、社会保障人口問題研究所の見通しとの比較も重要です。

出生率、「コホート」で見てみると~2023年人口動態統計月報年計

【これはnoteに投稿された飯塚 信夫(神奈川大学経済学部教授)さんによる記事です。】

 本日(6/5)は統計発表が相次いでいますね(汗)。

 厚生労働省は2023年の「人口動態統計月報年計(概数)の概況」を本日公表しました。2月27日の速報値公表時には判明しなかった「日本における日本人(前年以前発生のものを除く)」の出生数や合計特殊出生率などが判明しました。日経電子版は、2023年の合計特殊出生率が1.20と過去最低となったこと、出生数が5.6%減少したことを報じています。

 私のnoteでは、2年前の下記のnoteをアップデートし、「コホート」でみた出生率の推移に着目したいと思います。また、2月の速報時のnoteもアップデートし、社会保障人口問題研究所の人口見通しと今回の実績値の比較もしたいと思います。

【2023年の出生率1.20、過去最低を更新 東京都は0.99】

※ここに貼られていた記事のURLは【関連記事】に記載しています

【コホート合計特殊出生率には反転の兆し?】

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 合計特殊出生率は「期間合計特殊出生率」と「コホート合計特殊出生率」の2種類あり、記事で取り上げられているのは前者の「期間合計特殊出生率」です。15歳から49歳までの各年齢の女性の、2023年の出生率(その年齢の女性が産んだ子どもの数÷その年齢の女性人口)を合計したものが1.20と過去最低となったわけです。  

 これに対し、コホート合計特殊出生率は、例えば、1960年生まれの女性が生涯に産んだ子どもの数です。「1人の女性が生涯に産む子どもの数」という合計特殊出生率の定義により近い出生率になります。「ごく粗い計算」という注釈付きではありますが、「人口動態統計月報年計(概数)の概況」には、このコホート合計特殊出生率が参考資料として掲載されています。