「読者の7割ばあちゃん」福岡の新聞ヒットの裏側、75歳以上が働く「うきはの宝」のリアルに迫る

AI要約

福岡県うきは市の過疎地域に、75歳以上のおばあちゃんたちがいきいきと働く会社「うきはの宝」がある。様々な活動を通じて地域貢献をしているおばあちゃんスタッフたちの姿が描かれる。

おばあちゃんスタッフたちの声を通じて、仕事を通じてのやりがいや喜び、お互いの支え合いや新しい挑戦への意欲が伝わってくる。

大熊充さんを中心にした「うきはの宝」の活動は、地域の絆を深めるきっかけとなっており、おばあちゃんたちの人生を豊かにしている。

「読者の7割ばあちゃん」福岡の新聞ヒットの裏側、75歳以上が働く「うきはの宝」のリアルに迫る

 おばあちゃんに人気の『ばあちゃん新聞』、おばあちゃんの愛情たっぷりの食品ブランド「ばあちゃん飯」、お悩み相談からダンス、料理まで幅広く届けるYouTubeチャンネル「ユーチュー婆」――。

 福岡県うきは市の過疎地域に、75歳以上のおばあちゃんたちがいきいきと働く会社がある。その名も「うきはの宝」だ。

■高齢化が進む過疎地にユニークな会社が誕生

 初夏のある昼下がりに、元保育園を活用した同社の拠点を訪ねると、おばあちゃんスタッフ2人と代表の大熊充さんが、キッチンでワイワイと作業を進めていた。途中、近所の女性がおしゃべりに来るなど、オープンであたたかい雰囲気だ。

 國武トキエさん(77歳)は、同社ができた2019年からアルバイトとして働いている。うきは市で生まれ育ち、自宅で田舎体験や農業体験を受け入れてきた。

 大熊さんに手伝ってと声をかけられて、「私が近所のおばあちゃんたちに習ったような田舎料理を、次の世代に伝えられることがうれしくてやりがいがある」と明るく話す。内山ケイ子さん(82歳)は1年ほど前に仲間になった。「ここには素敵な先輩がたくさんいらっしゃるから、皆さんとコミュニケーションを取れるようになったことが一番うれしい」と声を弾ませる。

 大熊さんとは5年の付き合いになるトキエさんが「大熊さんがあれしよう、次はこれしようと次々と新しいことを持ってきてね。でも、みんな自分にできることなら、ちゃんとやってるのよ。新しいことをするのは面白いから」と言うと、大熊さんは「ほら、スタンフォード大の教授のケンさんが、適度なストレスは健康にいいって言ってたでしょ」と応じる。

 ケイ子さんが「好きだからできるのよ」と続けると、トキエさんは「この年になると、そのときそのときを精いっぱい楽しめればいいと私は思うの。大熊さんに対して、私たちも思ったことは何でもパーッと言うから、ストレスはないわ」とおおらかに笑った。