3500万の住宅ローン組んだ「年収700万夫婦」、繰り上げ返済をして「地獄を見た」ワケ

AI要約

相談者が住宅ローンの繰り上げ返済で家計が破綻しそうになった事例を紹介。

小さい子供を抱える家庭は繰り上げ返済を控えるべき教訓。

家計シミュレーションで予期せぬリスクを発見。

3500万の住宅ローン組んだ「年収700万夫婦」、繰り上げ返済をして「地獄を見た」ワケ

 私は九州でファイナンシャルプランナーをしている中村と言います。日々、さまざまな方からお金にまつわる相談を受けていますが、そのなかには「知識があれば回避できたのに…」と思わされる失敗も少なくありません。

 ここでは私が見てきた「ありがちなお金の失敗」をご紹介します。今回取り上げるのは、住宅ローンの繰り上げ返済の「失敗例」です。

 これは実際に私のところへ寄せられた相談事例で(プライバシーに配慮し、ポイントがブレない程度にアレンジを加えてあります)、住宅ローンの繰り上げ返済を頑張り過ぎたせいで家計が破綻してしまう寸前までいったという恐ろしい事例です。

 これから詳しくみていきますが、はじめにこの事例から得られる教訓を申し上げておけば、それは「小さいお子さまをお持ちで子育て中のご家庭は、あまり繰り上げ返済を頑張り過ぎないほうがいい」ということです。

 では早速見ていきましょう。

 相談者・伊藤孝さん(仮名・40歳)の家族構成は以下の通りです。

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夫・孝さん→40歳、会社員(小売業)、年収600万円(税込)

妻・知子さん→39歳、看護師(パート)、年収100万円(税込)

長男10歳(小学4年生)

次男7歳(小学1年生)

貯金100万円

住宅ローン残高1061万円、残期間10年、借入金利2.1%(固定)、月々返済額11万7746円

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 これだけの情報を見る限り、お子さまが小さいうちに頑張って繰り上げ返済をして住宅ローンの残債を約1000万円まで減らし順調な家計に見えます。しかし、伊藤さんが私たちの事務所にご相談に来られ、こちらでライフプランシミュレーションを作成してみると、なんと5年後に貯蓄残高がマイナスとなり家計が破綻することがわかりました。

 なぜそうなってしまうのか、伊藤さんご一家が住宅を購入してからの経緯を振り返ってみましょう。