〔NY外為〕円、156円台後半=CPI、FOMCで不安定な値動き(12日)

AI要約

米ドルが弱含みの動きとなる中、円相場は156円台後半に上昇した。市場では米消費者物価指数の低い伸び率が受け止められ、円が買われた。

しかし、FRBが政策金利の据え置きを決定し、インフレ率見通しを上方修正したことで円相場は荒れている。金融引き締めの長期化を警戒する動きが見られた。

ユーロは対ドルで一服を示すが、対円は円安傾向が続いている。

 【ニューヨーク時事】12日のニューヨーク外国為替市場では、5月の米消費者物価指数(CPI)や米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策決定を受けて不安定な値動きとなる中を、円相場は156円台後半に上昇した。午後5時現在は156円65~75銭と、前日同時刻(157円09~19銭)比44銭の円高・ドル安。一時155円台後半まで上昇する場面があった。

 米労働省が朝方発表した5月の消費者物価指数(CPI)は、前年同月比3.3%上昇と、伸び率は前月(3.4%)から低下し、市場予想も下回った。変動の激しい食品とエネルギーを除いたコア指数は3.4%上昇と、伸び率は前月から縮小した。インフレの沈静化を示す内容と受け止められ、米長期金利が急低下。日米金利差の縮小の観点から円買い・ドル売りが活発化し、円相場は一時155円73銭まで上伸した。

 ただその後、FRBが連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利の据え置きを決定する一方、最新の政策金利見通しで2024年内の利下げ回数を1回と想定、従来の3回から減らした。24年末のインフレ率予測もFRBの物価目標である2%を依然上回る2.6%(3月時点は2.4%)に上方修正された。

 パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長はFOMC後の記者会見で、インフレが持続するなら、適切な限り政策金利を現行水準で据え置く意向を明らかにした。政策金利見通しがタカ派寄りと受け止められたことも相まって金融引き締めの長期化が警戒され、円はFOMC声明発表直後から上げ幅を削る展開となった。

 ユーロは同時刻現在、対ドルで1ユーロ=1.0803~0813ドル(前日午後5時は1.0735~0745ドル)、対円では同169円34~44銭(同168円65~75銭)と、69銭の円安・ユーロ高。