選挙ショックで新興国市場投資が一変-現地通貨債にトレーダー殺到

AI要約

新興国市場の投資家は、選挙ショックにより現地通貨建て債や通貨のレラティブバリュー取引に注目している。

アシュモアやナインティー・ワンなどの投資家は、フロンティア市場の現地通貨建て債や通貨を積極的に取引している。

トルコやポーランドの通貨が投資家の関心を集めており、エジプトや中南米の一部の国も注目されている。

(ブルームバーグ): 選挙を巡るショックで一部の大型新興国への長期にわたる投資が打撃を受けた結果、新興国市場の投資家は、現地通貨建て債や通貨のレラティブバリュー取引に目を向けている。

アシュモアやナインティー・ワンなどは、特にフロンティア市場の現地通貨建て債のポジションを積み増している。また、ポーランド・ズロチのような通貨を勧めている投資家もいる。メキシコ・ペソなどのキャリー取引で人気のある通貨がボラティリティーに見舞われたことを受け、政治的混乱の影響を受けにくいとみられているためだ。トルコの資産も人気のある投資対象として浮上している。

ナインティー・ワンのポートフォリオマネジャー、クリスティーン・リード氏は「現地通貨建て債と為替デリバティブ(金融派生商品)の両方を通じて、フロンティア市場のリスクを引き上げている」と指摘。「エジプトのストーリーや、中南米の比較的小さい国の一部のストーリーを選好している」と述べた。

また、同氏は「建設的な見通し」を背景に、トルコにより注目している。

トルコは昨年の統一地方選挙後、経済政策を見直し、投資家に友好的な当局者のチームを指名した。それまでは長年にわたり、超低金利に基づく非伝統的な政策を試みたことで、投資家離れを招いていた。この劇的な方針転換の結果、自国通貨建て資産の需要が急増した。トルコ・リラ建て国債の外国人保有総額は、1年間で10倍に増加した。

相次ぐ選挙のサプライズで2024年最高の取引の一部が動揺したことを受け、新たなリターンの源泉を探す動きが強まった。メキシコ・ペソは先週、週間ベースで新型コロナ禍初期以降で最大の下落率を記録。大統領選で左派与党のクラウディア・シェインバウム氏が地滑り的勝利を収めた後、政府による経済への干渉が強まりかねない改革が行われるとの見通しから売り込まれ、ボラティリティーが急上昇した。

ポーランドの証券会社Cinkciarz.plの市場アナリスト、バルトス・サヴィッキ氏は、投資家はポーランドに注目する可能性があると指摘。同国の通貨ズロチが、高いキャリーや低い政治的不確実性から恩恵を受けるためだと説明した。