興國がインハイ全国大会初出場!前回大会準Vの関大一を延長で振り切る

AI要約

全国高校サッカーインターハイ大阪予選の準決勝で興国が関大一を3-1で破り、全国大会出場を果たす。興国は悲願の初出場を果たし、関大一は2大会連続の出場を狙っていた。

試合は興国が主導権を握りながらも、関大一が後半に先制点を挙げる展開。しかし興国が追いつき、延長戦で勝ち越しを決め、3-1で勝利した。

興国の指揮官は選手たちの成長を重視し、全国大会でも同じスタンスで臨む意向を示し、六車拓也監督の下で偉業を達成した興国の選手たちが全国の舞台で躍動する。

興國がインハイ全国大会初出場!前回大会準Vの関大一を延長で振り切る

 6月8日、令和6年度全国高校サッカーインターハイ(総体)大阪予選の中央トーナメント準決勝がJグリーン堺S1で行われ、第1試合では興國が関大一に3-1で勝利し、決勝進出を決めるとともに全国大会への切符を獲得した。

 前回大会準優勝チームで2大会連続6度目のインターハイ出場を狙う関大一と、悲願のインターハイ初出場を期す興國が全国切符をかけて激突。府2部リーグの関大一は2次予選2回戦からの登場で3試合を勝ち抜くと、準々決勝ではプリンス関西1部の履正社を延長戦の末2-1で撃破。対するプリンス関西1部の興國は中央トーナメント1回戦からの登場。準々決勝では前回大会王者の金光大阪を延長戦後半アディショナルタイムにDF國岡俊哉(3年)の劇的ゴールで破り勝ち上がってきた。

 試合はボールを握る興國と、ブロックを敷く関大一の構図でスタート。長短のパスを織り交ぜ、相手を攻略にかかる興國は11分、右サイドの定位置から中央に入ってきたDF10久松大耀(3年)がFWの落としを受け、そのまま持ち運び右足でミドルを放つと、これは惜しくも左ポストに弾かれる。22分にはMF17乾悠人(2年)とMF14樺山文代志(2年)のインサイドハーフ2人で崩し、樺山がGKと1対1の決定機を迎えたがシュートはクロスバーの上。関大一ゴールをこじ開けられないままスコアレスで前半を終えた。

 前半を無失点で切り抜けた関大一は後半開始からジョーカーのMF11有田光希(2年)を投入し勝負に出る。するとその有田が早速ゲームを動かす。39分、右サイドでボールを受けた有田は対峙した相手2枚をドリブルでかわすと、一度は倒れながらもボールを譲らず、そのままボックス内に切り込み、倒されてPKを獲得。このPKをMF10梅原快(3年)がGKの動きを冷静に見極めながら左足で沈めた。緒方卓也監督の打った策が見事にハマり、関大一が試合の均衡を破った。

 主導権を握りながら先制を許してしまった興國の六車拓也監督も直後に動く。FW9仲谷蓮斗(3年)を前線に投入し、システムも4-1-2-3から4-1-3-1に変更。すると48分、こぼれを拾って右サイドを縦に突破した久松のクロスにファーサイドでFW7芋縄叶翔(2年)がGKに競り勝ち、打点の高いヘディングシュートをゴールに叩き込んだ。

 同点に追いつき勢いを増した興國はその後も勝ち越しゴールを狙い攻め込む。59分には芋縄が意表を突いたロングシュートを狙い、70+5分のラストプレーにはCKからDF3的場航人(2年)がヘディングシュート。しかしこのシュートが枠の上を越えたところで後半終了のホイッスル。35分ハーフの前後半では決着がつかず、試合は10分ハーフの延長戦に突入した。

 そして迎えた78分、興國は左サイドのスローインからDF4高橋怜生(3年)がクロスを入れると、FW29小笠原啓太がファーサイドで折り返したところにMF8水野凪斗(2年)が「先輩の為にも自分が試合を決めようと思っていた。どうなってもいいと思って」とDFがクリアする手前に飛び込むと、頭で押し込み決勝ゴール。延長後半にもワンツーからFW24地道碧(3年)がダメ押しゴールを決めた興國が3-1で競り勝ち、見事にインターハイ初出場を決めた。

 前半を無失点で耐え抜き、後半に勝負をかけて先制と、途中までは狙い通りの戦いを見せた関大一。キャプテンマークを巻いた梅原を筆頭に、GK1飛鳥馬健太(3年)、FW9岩崎颯太(3年) と、昨年全国を経験した選手たちが中心となって興國を追い詰めた。そして後半から投入され期待通りの活躍を見せた有田のプレーも見事だった。

 そんな難敵・関大一を打ち破り興國が歴史を塗り替えた。今まで何度も跳ね返されてきた舞台で堂々と勝ち切った。昨年の同大会終了後に興國の監督になった六車拓也監督。就任からちょうど1年というタイミングでインターハイ初出場という偉業を達成。選手たちの競争意識を高め、ディフェンス面を安定させ、元々高かったポテンシャルを更に引き出した。

 指揮官は「もちろん全国大会を目指すのはひとつなんですが、大事なのは毎試合自分たちが成長すること。トレーニングが全てなので、そこで頑張っている選手にしっかりチャンスを与える。そこに腹を括っていたので、それに選手が応えてくれた。だから相手のプランに合わせるというのは1試合もなかった。難しいゲームが多かったですが、その時にチャンスを与えられた選手がしっかり力を出してくれた」と話し、今大会を通して成長した選手たちの姿に目を細めた。

 「連れて行った選手は全員出したい。もちろん勝つことは大事なんですが、両方を追い求めて、行った選手にちゃんと経験させたい」。全国の舞台でもやり方を変えずに挑むと意気込みを語った六車監督。

 毎年のように優勝候補に挙げられながらも勝ち抜けなかった大阪大会を突破。やっとたどり着いた夏の大舞台で興國の選手たちが躍動する。

(文・写真=会田健司)