インドの8%成長計画が危機に-総選挙で与党が単独過半数割れ

AI要約

インドのモディ首相の野心的な経済成長目標が危機にひんしている。開票結果によれば、与党・BJPは議会で単独過半数を失い、連立政権が必要となった。

モディ氏はインドを先進国へ導くとの約束を繰り返し、成長率8%以上が必要であるとされる中、厳しい経済改革が課題とされている。

労働・土地政策などの改革が重要視される中、インドが持続可能な8%以上の成長率を達成するためにはさらなる取り組みが求められる。

インドの8%成長計画が危機に-総選挙で与党が単独過半数割れ

(ブルームバーグ): インドのモディ首相の野心的な経済成長目標が危機にひんしている。4日に開票が始まった総選挙で、同氏率いる与党・インド人民党(BJP)は議会で単独過半数を失う見通しだ。モディ氏は厳しい経済改革の推進を連立政権に委ねなければならなくなった。

開票結果によれば、モディ氏率いるBJPは、単独での政権樹立に必要な過半数の272議席を獲得できなかった。BJPが今後政権の座を維持するには、連立パートナーと協力することを余儀なくされる。出口調査ではBJP主導の与党連合が過半数を大きく上回り圧勝すると予測されていただけに、今回の結果は驚きだった。

BJP主導の政権は、政策面では依然として広く企業に友好的なアプローチを追求できる公算が大きいが、求心力が弱まるということは、特にエコノミストが成長維持のために必要だと指摘する労働・土地に関する規則など、難しい改革を実施するための政治資本が失われる可能性を意味する。

モディ首相はインド独立100周年に当たる2047年までに同国を先進国入りさせると約束していた。このビジョンは具体的な目標によって明確に定義されているわけではないが、一部エコノミストは、インドが高所得国になるには今後四半世紀にわたり8%以上の成長が必要だと見込んでいる。

モディ氏は4日に勝利宣言し、47年までに先進国入りする目標をあらためて示した。同氏はニューデリーのBJP本部で支持者に対し「次の任期で先進国入りの目標に向けて前進していく。この国は今後、大きな決断を伴う新たな局面を迎えるだろう」と語った。

インドの23年4月-24年3月の経済成長率は8.2%だった。今年度については中央銀行は7%を予測している。成長を後押ししたモディ首相のインフラ支出は、ペースは落ちる可能性があるものの、継続するとエコノミストらは予想している。

インドが持続可能なベースで8%以上の成長率を達成するためには、労働・土地政策を巡る難しい経済改革を断行する必要があると、エコノミストらは指摘する。例えば、労働者の雇用と解雇を容易にする労働法は19年と20年に議会で可決されたが、州政府による実施には至っていない。企業からも、土地取得が複雑なため、投資の妨げになっているとの不満の声が聞かれる。