部下のやる気アップに「ほめる」より大事な一言 コーチングにおける「アクノレッジ」とは何か

AI要約

コーチングのスキルの1つである「アクノレッジメント」について、アメリカ人コーチから学んだエピソードを通じて説明されています。

アクノレッジメントは単に「ほめる」ことではなく、「存在承認」を意味していると述べられています。

「存在承認」の重要性について解説され、ただ承認するだけではなく、相手を深く理解し信頼関係を築くことが重要であることが示唆されています。

部下のやる気アップに「ほめる」より大事な一言 コーチングにおける「アクノレッジ」とは何か

「部下のやる気が上がらない」「チームに一体感がない」……。そのような悩みがあるなら、コーチングのスキルの1つである「アクノレッジメント」を取り入れてみませんか。アクノレッジメントを日本語にすれば「承認」ですが、単に「ほめる」ことではなく、「存在承認」を意味している、と言うのは、『「承認 (アクノレッジ) 」が人を動かす』を上梓したコーチ・エィ代表取締役 社長執行役員の鈴木義幸氏。「存在承認」とはどういうことなのか、鈴木氏に聞きました。

■アメリカ人コーチから学んだ「アクノレッジ」

 1997年に日本初のコーチング専門会社を創業するにあたり、私たちはその前年、アメリカから1人のエグゼグティブコーチを招きました。

 彼の名前はデービッド・ゴールドスミス。

 後に私たちが提携することになるアメリカのコーチ養成機関「コーチ・ユニバーシティ」(現コーチ・ユー)のプレジデントです。「コーチングとは何か?」ということについては、このデービッドからすべて教えてもらいました。

 4日間の滞在日程が終わりに近づき、私たちは10人ほどのメンバーで、デービッドを取り囲んでミーティングをしていました。

 話すべきことを全て話し終わり、立ち上がろうとすると、デービッドが言いました。

 「Wait、I’d like to acknowledge you all」

 日本語にすれば「ちょっと待って。ここにいる全員をアクノレッジしたい」ということでした。

 そしてデービッドは、10人ひとりずつについて、その人が彼の滞在中、何をしてくれたか、どんな会話を交わしたか、その人のことを彼がどう思い、どう感じたのか、そして、その人が今後日本におけるコーチングの発展にどのような役割を果たしうるか、とても丁寧に伝えてくれました。

 それまでの4日間でデービッドとはすでに協力関係はできていましたが、最後に聞いたこの話のおかげで、デービッドへの信頼は一回り太くなったように感じました。

 コーチングにおける「アクノレッジ」と言われるものの重要性を、初めて体感した瞬間でした。

■「ほめる」だけではダメな理由

 さて、このアクノレッジメントの日本語訳としては、「存在承認」という言葉が最も近いと思っています。アクノレッジメントを英和辞典で調べても、「承認」としか出てきませんが、承認だけでは、なかなかその意味するところは伝わりません。