6カ月間くちばしに釣り針が刺さったままの済州のイルカ…「人見かけたら逃げる」

AI要約

6カ月も釣り道具が絡まったまま苦しむ済州の幼いミナミバンドウイルカ「ジョンダリ」を救助する作業が難航している。

救助団は捕獲と治療を一日以内に行い、ジョンダリの苦痛を最小限に抑える救助法を考慮している。

また、救助団は海洋保護区域指定のため署名活動も行っており、7月20日まで受け付ける。参加方法は「済州イルカサポーターズ」を参照。

6カ月間くちばしに釣り針が刺さったままの済州のイルカ…「人見かけたら逃げる」

 釣り道具が体に絡まって6カ月も苦しんでいる済州(チェジュ)の幼いミナミバンドウイルカ「ジョンダリ」を誘引し、釣り針と釣り糸を除去したうえで傷を治療する緊急救助作業が難航している。

 済州イルカ緊急救助団(救助団)は28日、「4月8日に緊急救助を試みてから、5月24日にも一日中救助作業を進めたが成功に至らなかった」とし、「現在、海の天気、波の高さ、ジョンダリの体調などを考え、早い時期に再び救助を準備している」と発表した。

 これに先立ち、救助団は1月29日、ジョンダリの尾びれに引っかかっていた2.5メートルほどの釣り糸を切ることに成功した。しかし、その後数回にわたり救助を試みたにもかかわらず、口の周りにかかった釣り針と尾びれに残った釣り糸の除去には困難を来している。先月観察されたジョンダリは潜水や遊泳ができず、水面上で1~3分間じっとするなど異常行動を10回余り繰り返した。

 救助団は済州でイルカ保護・研究活動を行ってきた「ホットピンク・ドルフィンズ」、海洋ドキュメンタリー監督「ドルフィンマン」、海洋動物生態保全研究所(MARC)が連合した団体で、海洋水産部と済州道庁の承認と協力を得て、ジョンダリの救助活動を行っている。

 救助団が海洋水産部、済州道庁、国立水産科学院クジラ研究所などの関係機関と救助方法を議論した結果、今回の救助ではジョンダリの捕獲と治療を一日以内に順次進める方針だ。

 捕獲には「分離型フープネット」(分離型輪網)が活用される。分離型フープネットはイルカが呼吸のために水面に上がってきた時、救助者が網を素早く下ろして捕獲する装備で、ジョンダリが網に入ると網がフレームから離れてジョンダリを捕獲する方式だ。

 ジョンダリの捕獲と同時に救助団は海に「浮力マット」を設置し、待機していた獣医とアクアリストが釣り道具の除去および治療を行った後、すぐに海に返す計画だ。治療と処置は海洋動物救助治療専門機関の「アクアプラネット済州」で担当する。

 ホットピンク・ドルフィンズのチョ・ヤクコル共同代表は29日、ハンギョレに「ジョンダリの救助が急がれ、専門家の間でもさまざまな方法が示されているが、傷ついたイルカのストレスや苦痛、捕獲トラウマを最小限に抑えられる救助法を優先的に考慮せざるを得なかった」とし、「分離型フープネットを通じた救助のために、ここ数カ月にわたりジョンダリのモニタリングを進めながら救助装備の使用練習を行った」と語った。

 救助団は、ジョンダリの限られた動きと母イルカの行動、群れに及ぼす影響などを総合的に考え、早いうちに再び救助作業に入る方針だ。しかし、具体的な救助日程とジョンダリの位置、状態などは非公開とする。ジョンダリの救助にマスコミの関心が集まったことで、これを撮影しようとする取材陣が増え、ジョンダリの警戒心が高まっているためだ。

 救助団は「最近、ジョンダリが船舶の接近とドローンの騒音に敏感に反応し、素早く潜水し距離を広げるなど以前より強い回避反応を示している。救助団の船舶とジョンダリの周囲ではドローン運行を自制してほしい」と呼びかけた。

 一方、救助団は廃漁具、プラスチック、海洋ゴミ、船舶観光などで生存権が脅かされているミナミバンドウイルカと海洋生物のために、済州海域を「海洋保護区域」に指定することを求める署名を集めている。海洋保護区域は、特別に保存する価値のある特定の共有水面の海洋生態系と海洋生物を、国や自治体が指定し管理(海洋生態系法第2条第14号)することをいう。署名は「ミナミバンドウイルカの日」である7月20日まで行われ、集まった署名は海洋水産部長官に提出される。参加方法は「済州イルカサポーターズ(@jejudolphin_supporters)」を参照。

キム・ジスク記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )