「もしトラ」に自信 経済好調のメキシコで6月2日に大統領選 移民対策で「協力不可欠」

AI要約

メキシコ大統領選で有力候補が米国の大統領選に対応する自信をみせている。

女性候補が有力で初の女性大統領誕生の公算が大きい。

経済好調や米中対立を背景にメキシコへの投資が増加しており、候補の対応に影響。

【ニューヨーク=平田雄介】6月2日実施のメキシコ大統領選で、与野党の有力候補が、国境を接する米国の11月の大統領選でトランプ前大統領が返り咲いた場合の対応に自信をみせている。トランプ氏が解決を目指す不法移民問題で「メキシコの協力が不可欠」との認識に加え、米中対立を警戒する外国企業の直接投資が増え、経済が好調に推移しているのも理由だ。

メキシコ大統領選に立候補したのは、左派ロペスオブラドール大統領が後継に指名した与党、国家再生運動(MORENA)のクラウディア・シェインバウム前メキシコ市長(61)や、中道右派の国民行動党(PAN)など野党3党の統一候補、ソチル・ガルベス元上院議員(61)ら。

地元紙の最新世論調査の支持率はシェインバウム氏が56%で、ガルベス氏は32%。2人は女性で、3位の男性候補は11%と低迷しているため、初の女性大統領が誕生する公算は大きい。

米紙ニューヨーク・タイムズは、女性候補2人にトランプ氏が再選された場合の対応について尋ねた。シェインバウム氏は「対等な関係を望む」と答え、ガルベス氏は「あらゆるタイプの男性と取引してきた」と楽観的に語った。

シェインバウム氏の陣営には、エブラルド前外相らトランプ前政権と相対した人物が加わる。トランプ氏は今回の米大統領選に向けても「不法移民の大規模国外退去」や「関税の一律引き上げ」を唱えている。

エブラルド氏は、トランプ氏との交渉は「簡単ではない」と同紙の取材に答える一方、「時間と忍耐、冷血さ」が必要だと理解していれば「妥結できる」と述べた。「対米交渉力は以前より増している。地政学的な緊張がメキシコを強くした」とも語ったという。

背景に、米中対立を警戒した企業が中国での生産を縮小し、大消費地の米国近くに拠点を移す「ニアショアリング」と呼ばれる動きがある。昨年のメキシコへの直接投資額(年末時点の暫定値)は3年連続で前年を上回り、約360億5800万ドル(約5兆6600億円)。今年1月発表された昨年の国内総生産(GDP、速報値)も前年比3・1%増え、3年連続のプラス成長となった。

堅調な経済は、ロペスオブラドール氏の「愛(まな)弟子」と称し、最低賃金の引き上げなどの政策継承を掲げるシェインバウム氏にとっても追い風となっている。