NATO加盟24カ国がウクライナによるロシアへの越境攻撃の解禁を求める決議 容認の機運加速へ

AI要約

北大西洋条約機構(NATO)加盟国の国会議員会議が越境攻撃を容認すべきだとする決議を採択。

フランスのマクロン大統領もウクライナの越境攻撃を支持。

NATOの議論が越境攻撃の容認に向けて加速する見込み。

【ロンドン=黒瀬悦成】北大西洋条約機構(NATO)加盟国の国会議員会議が24~27日の日程でブルガリアのソフィアで開かれた。加盟32カ国のうち24カ国は、ロシアに侵略されたウクライナが米欧諸国から供与された兵器を使ってロシア領内を越境攻撃するのを認めるべきだとする決議を採択した。

決議を受け、越境攻撃の是非は30日からチェコのプラハで開かれるNATO非公式外相会合でも主要議題の一つとなる見通しだ。

フランスのマクロン大統領も28日、ドイツのショルツ首相との会談後、ウクライナによる越境攻撃を「認めるべきだ」と訴えた。ショルツ氏は「ウクライナには自衛権がある」としつつ、攻撃を容認すべきかどうかは明言しなかった。

ウクライナへの兵器供与をめぐっては、欧米諸国は戦火の拡大を警戒し、ウクライナに対してミサイルなどの長距離攻撃兵器でロシア領内の施設や軍事目標を攻撃しないことを供与条件に課していた。

しかしロシアによる大規模攻勢でウクライナの劣勢が鮮明になり、NATO加盟国の間では事態を打開するために越境攻撃を容認すべきだとする声が一気に強まりつつある。

NATOのストルテンベルグ事務総長は27日、ソフィアで記者団に「西側の兵器をロシアに対して使用することに関して規制を見直すときが来た」と述べ、加盟各国に越境攻撃を容認するよう促した。

現地からの報道によると英国の議員は「ロシアからキーウ(キエフ)にミサイルが撃ち込まれているのにウクライナがロシア領内を攻撃できないのは意味が分からない」と指摘。フランスの議員も越境攻撃の解禁に理解を示した。

国会議員会議の決議は、加盟国議員の意見をNATO本体の議論に反映させるのが目的で、強制力はない。しかし、加盟国の約7割が越境攻撃を支持していることが明らかになったことで、越境攻撃の容認に向けてNATOの議論が加速するとみられている。