C上等兵特検法を否決した「防弾与党」=韓国

AI要約

尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が再議要求権(拒否権)を行使した「殉職海兵捜査妨害および事件隠ぺいなどの真相究明のための特別検事の任命などに関する法律案(C上等兵特検法)」が否決された。

国会での再表決で賛成世論が60%を超えるなか、国民の力が総選挙で惨敗したことに批判が寄せられている。

C上等兵特検法は過去の海兵隊捜査団の行動を巡り、捜査隠ぺいの疑いを特別検事によって究明することを目的としていたが、大統領の拒否権により否決された。

C上等兵特検法を否決した「防弾与党」=韓国

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領が再議要求権(拒否権)を行使した「殉職海兵捜査妨害および事件隠ぺいなどの真相究明のための特別検事の任命などに関する法律案(C上等兵特検法)」が28日、国会での再表決の末に否決された。C上等兵特検法に対する賛成世論が60%は超えるが、国民の力は総選挙で惨敗したにもかかわらず「防弾与党」を自任したとの批判の声があがっている。野党は30日に始まる第22代国会でC上等兵特検法を改めて推進することを表明しているため、与野党の対立は続く見通しだ。

 この日開催された第21代国会最後の本会議で、C上等兵特検法案は無記名表決に付され、在席議員294、賛成179、反対111、無効4で否決された。大統領が拒否権を行使した法案を可決するのに必要な「在籍議員の過半数の出席、出席議員の3分の2(196)の賛成」に満たなかったため、廃案となったのだ。これで尹大統領が拒否権を行使した10本の法案のうち、国会に差し戻されて廃案となった法案は「梨泰院(イテウォン)惨事特別法」を除く9本となった。

 C上等兵特検法は、昨年7月に慶尚北道の水害現場での行方不明者の捜索作業中に起きたC上等兵死亡事件の捜査を担当していた海兵隊捜査団に対し、大統領室や国防部などが捜査結果を隠ぺい、歪曲するために外圧を行使したか、などを特別検事によって究明することがその要旨だ。同法案は昨年9月に共に民主党の主導で国会に提出され、今月2日に可決されたが、尹大統領が21日に「高位公職者犯罪捜査処と警察の捜査をまず見守ろう」などの理由をあげて拒否権を行使していた。

 この日の表決の結果について国民の力は、「離脱票(特検賛成)を最小化した」と自評した。民主党は、国民の力の離脱票は9票前後に達すると主張してきたが、実際はそれより少なかったということだ。この日の「賛成179票、反対・無効115票」という表決結果は、図らずも投票した議員の数「汎野党圏179人、汎与党圏115人」と一致する。C上等兵特検法に賛成することを公に表明してきた国民の力の5人の議員(アン・チョルス、ユ・ウィドン、キム・ウン、チェ・ジェヒョン、キム・グンテ)は、この日の表決後も「賛成票を投じた」とメディアに語っている。

 国民の力のチュ・ギョンホ院内代表は否決という結果について、「党の方針として決めた事案に対して、変わることなく単一票を、単一隊伍を共にして下さった」と述べた。民主党のパク・チャンデ院内代表は否決後に国会中央ホール階段で行われた野党6党の糾弾大会で、「一握りの権力を守るために国民の声を踏みにじった最悪の議会惨事の日」だとし、「第22代国会が開かれ次第、海兵隊員特検法を再推進する」と述べた。

 この日の本会議では、「まず救済、後に回収」策を盛り込んだ「伝貰(チョンセ:契約時に高額の保証金を賃貸人に預けることで、月々の家賃が発生しない不動産賃貸方式)詐欺被害支援特別法」や「民主有功者礼遇法」などの、与野党間の意見の違いが大きかった5本の争点法案も、国民の力が退場した中、野党主導で可決された。国民の力は、尹大統領にこれらの法案に対する拒否権の行使を提案することを表明している。

ソン・ダムン、シン・ミンジョン、カン・ジェグ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )