【コラム】半導体錯視を取り払ってウォン高円安を防ぐべき(2)

AI要約

ウォン高円安の中で韓国の輸出が増加し、半導体の輸出が好調で経済成長率が高まっている

しかし半導体を除いた対中国輸出は低下し、景気はニ極化現象が表れている

政治危機や適切な対策の推進が必要で、半導体以外の産業にも注意を向けるべき

◆円安の中で輸出好調は半導体の影響

ウォン高円安が進む状況の中、1997年と2008年と違い最近は韓国の輸出が増加し、今年1-3月期には1.3%(前期比・速報値)と異例にも高い経済成長率を記録した。半導体の輸出増加が成長率を高めた。半導体の輸出が回復し、経常収支も昨年5月に黒字転換した。韓国の輸出は半導体輸出に大きな影響を受けてきた。対中国輸出を見てもその傾向が明確に表れる。半導体輸出が好調な時期は対中国輸出が好調であり、半導体輸出が不振だった2023年初めには韓国の対中国輸出も振るわなかった。昨年11月から対中国半導体輸出が反騰して韓国の全体輸出も増加し、その結果、経常収支も黒字に転じて成長率も反騰した。

◆1-3月期「サプライズ」成長も景気はニ極化

問題は半導体を除いた場合だ。半導体を除いた対中国輸出は2013年の1238億ドルをピークに下落し、昨年は800億ドル水準に落ちた。その結果、半導体を除いた貿易収支は2018年以降、赤字が続いている。景気のニ極化現象も表れている。半導体を含む大企業と、半導体を除いた中小企業中心の景気が異なる。製造業景気が上向く中、半導体を除いた景気は依然として不振が続いている。大企業の生産指数増加率は上昇するが、中小企業の生産指数増加率はマイナスだ。このため3月の製造業平均稼働率は正常水準(82%)を下回る71.3%だった。1-3月期の「サプライズ」成長にもかかわらず体感景気が伴わないのにはこのような背景がある。

総選挙以降、与野党間の対話と妥協は消え、生死決断式の政争が加熱している局面だ。政治危機と国政空白事態を迎えるという懸念も強まっている。こうした状況の中、ウォン高円安で輸出危機が高まっているが、半導体錯視のため危機の信号が感じられないこともある。したがって輸出と成長率から半導体錯視現象を取り除き、全体産業の輸出と生産動向を綿密に点検し、適切な対策を推進する必要がある。経済安保戦略産業として重要な半導体を軽視してもよいということではなく、半導体を除いた他の産業にも注目すべきということだ。依然として振るわない非半導体産業の輸出を増進する対策の一つが過度なウォン高円安を防ぐことだ。政争による政治危機のため適切な対応と対策を推進できなければ、もう一つの経済危機が近づくかもしれない。

オ・ジョングン/韓国金融ICT融合学会長