中国が軍事演習で〝台湾包囲〟当局「独立のたくらみは粉砕」と正当化 22年に日本のEEZに弾道ミサイル撃ち込む暴挙も

AI要約

中国軍が台湾を包囲するように行う大規模軍事演習を実施し、台湾情勢が緊迫化している。

中国は台湾独立を警戒し、軍事演習を正当化している。

台湾も厳戒態勢で中国の圧力に対処しており、注視が必要とされている。

中国が軍事演習で〝台湾包囲〟当局「独立のたくらみは粉砕」と正当化 22年に日本のEEZに弾道ミサイル撃ち込む暴挙も

台湾の頼清徳総統の就任式を受けて、中国軍は24日、台湾を包囲するように行う大規模軍事演習の2日目に入った。中国は2022年には、同様に台湾を取り囲んで行った演習で、弾道ミサイルを沖縄県・与那国島や波照間島沖の日本の排他的経済水域(EEZ)に撃ち込む暴挙も起こしている。台湾をめぐる情勢が、にわかに緊迫してきた。

「すべての措置は『台湾独立』や外部勢力の干渉を標的とする。多くの台湾同胞に向けたものではない」「台湾独立のたくらみは粉砕する」

今回の演習を「パトロール」「能力の検証」などと主張する中国当局は、23日夜の談話で、台湾への〝脅迫〟をこう正当化した。

中国軍の演習は、台湾本島周辺や離島の金門島、馬祖島付近で行われた。中国側の発表によると、陸海空軍や、核戦力を保有するロケット軍が参加し、戦闘機が台湾の周囲を飛行したほか、駆逐艦や護衛艦などを展開したとしている。軍艦の主砲や、ミサイルは攻撃準備に入ったという。

中国当局は、軍事演習の様子を映したとされる約5分間の動画をSNSに投稿し、強硬姿勢をアピールしている。同様の演習は22年8月、当時の米下院議長だったナンシー・ペロシ氏が訪台した際にも行われた。

日本の防衛関係者は「台湾はわが国に近接している。22年にもミサイルが着弾しており、不測の事態を警戒している」と話す。

台湾も厳戒態勢だ。台湾・中央通信社が運営する日本語サイト「フォーカス台湾」などによると、中国などの艦船31隻や、軍用機のべ49機が、台湾周辺の海空域で海空統合演習を実施したと発表した。中国軍は台湾側の海岸線から24カイリ(約44キロ)まで接近し、台湾軍などが警戒にあたった。

中国側は、民主進歩党の頼氏を「台湾独立派」と名指しし、「1つの中国」の原則をなし崩しにしていると批判している。総統就任を受けて、今後も圧力を強める可能性があるが、台湾情勢をどうみるべきなのか。

軍事ジャーナリストの世良光弘氏は「投入した艦船や航空機の数は、22年の同様の演習時に比べれば少ない。『中国に隷属しない』との姿勢を明らかにした頼氏に対抗した軍事活動だが、米国などへの警戒感もあり、一定の節度をもったレベルにもみえる。だが、今後の展開は不透明で、注視する必要がある」と指摘した。