英、7月4日に総選挙 首相、決断の背景に「物価」 支持率20%でも

AI要約

英国のスナク首相(保守党)は7月4日に早期総選挙を実施することを発表した。これまで2024年後半と言われていた総選挙が前倒しとなった理由には、物価上昇が収束し与党に有利に働く可能性があるとされている。ただし、保守党は支持率が伸び悩み、労働党に大きく水を開けられている。

労働党のスターマー党首は政権奪還に自信を見せており、保守党は10年以上政権を維持してきたが、最近の混乱により信頼を取り戻せていない。ジョンソン元首相や後任のトラス氏、そして現首相のスナク氏の不祥事や混乱が続き、政権は揺らいでいる状況だ。

保守党と労働党の争いが激しさを増す中、次期総選挙でどちらが有権者の支持を得るか注目される。英国政治のこれからに大きな影響を与えるであろう総選挙の行方が、世界中で注目されている。

英、7月4日に総選挙 首相、決断の背景に「物価」 支持率20%でも

 英国のスナク首相(保守党)は22日、次期総選挙(下院選)を「7月4日に実施する」と発表した。スナク氏はこれまで「総選挙は2024年後半」と述べてきたが、急きょ前倒しを決めた。

 英メディアはスナク氏の決断の背景について、最近の英国は「物価上昇が収束傾向」にあることから、早期総選挙が与党に有利に働くとの計算があると伝えた。だが保守党は最近の各種世論調査で支持率が20%前後にとどまり、40%前後で推移する最大野党・労働党に大差を付けられている。このため、ロイター通信はこの判断が保守党にとって「リスクがある戦略」とも伝えた。

 労働党のスターマー党首は「選挙準備はできている」と政権奪還に自信を見せている。

 保守党は10年から政権を維持し、前回19年の総選挙では欧州連合(EU)離脱を掲げるジョンソン元首相のもとで大勝した。

 だが近年は迷走が続き、22年にはジョンソン氏が新型コロナウイルス流行中のパーティー参加問題などの責任を問われ、辞任に追い込まれた。後任のトラス氏も急激な減税策が市場の混乱を招き、就任から約1カ月半で辞任。続くスナク氏は22年10月から首相を務めるが、不祥事や混乱が続く保守党への信頼は回復していない。【ロンドン篠田航一】