AIを導入した業種の生産性増加率は最大4.8倍…「人口減少国に朗報」

AI要約

人工知能(AI)技術の導入が労働生産性を4.8倍高めることが分析された。

金融や情報技術業界はAI技術の導入が進んでおり、労働生産性の向上が顕著である。

AI技術を必要とする新しい仕事の伸びは増加しており、賃金も平均で最大25%高くなる傾向がある。

 人工知能(AI)技術が多く導入されている金融、情報技術、専門サービスのような業種がここ4年間で示した労働生産性の増加率は、AI技術の導入の低い業種よりも4.8倍高かったという分析が出た。

 英国ロンドンに本社を置く多国籍会計法人プライスウォーターハウスクーパーズ(PwC)は20日(現地時間)、世界15カ国の1万以上の職場のAI技術の影響を分析した報告書「2024 AIジョブズバロメーター」でこのように明らかにした。英日刊紙ガーディアンが報じた。分析対象国は英国、フランス、ドイツなど欧州10カ国および米国、カナダ、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランドだ。

 報告書によると、AI技術が積極的に導入された金融など3部門と、相対的に導入の低い建設、製造、小売・食品・運送など3部門を比較した結果、AI導入にともなう労働生産性の向上が明確にあらわれた。金融など3部門の2018~2022年の労働生産性の増加率は4.3%である一方、建設など3部門の増加率は0.9%だった。AI技術導入の程度は金融、情報技術、専門サービス、小売・食品・運送、製造の順に高く、建設業が最も低かった。

 報告書は「AIが労働者の生産性を高めるという予想を裏付ける証拠を確認した」とし、「このような傾向が正しければ、AIを導入した部門の生産性の増加は2023年にも加速したものと予想できる」と指摘した。

 さらに「AIが仕事に及ぼす影響に対する関心は、2022年11月に生成AI『ChatGPT』がサービスを始めてから特に大きくなったが、AI技術を必要とする新しい仕事の伸びはすでに2016年から仕事全体の伸びを上回っている」ということが明らかになった。AI技術が必要な仕事の伸びは2022年にピークに達し、関連する人材の需要は2012年に比べて9%多かった。報告書は「昨年は、AIの関連する新しい仕事の伸びは2022年より小幅に減った」とし、これは労働市場の状況が正常化する過程で表れたものと解説した。

 米国、英国、カナダ、オーストラリア、シンガポールなど5カ国の賃金を分析した結果、AI技術を必要とする仕事の賃金は、AI技術を必要としない同じ業種の仕事よりも平均で最大25%まで高く表れた。米国の場合、特にデータベース設計と運営、弁護士、販売・マーケティング管理職で賃金の格差が大きかった。

 報告書では、AIが仕事に及ぼす影響力は「労働可能人口が減っている国にとっては良いニュース」であり、「AIが経済の潜在力を最大限実現するよう労働を供給するのに役立つ」と評された。

シン・ギソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)