【時視各角】尹錫悦政権の核心リスクとなった大統領夫人

AI要約

尹錫悦大統領夫人の金建希氏が奉仕活動をする中、彼女が関与した事件や疑惑が表面化し、国民の反発を招きつつある。

国家核心保安施設の工事やブランド品バック問題など、金建希氏に関連する問題が次々発覚しており、民心が彼女に対して批判的な状況が続いている。

金建希氏は謝罪や隠居を含めた対応を検討すべきであり、現状では奉仕活動が逆効果になっている可能性がある。

【時視各角】尹錫悦政権の核心リスクとなった大統領夫人

民心が本当に分からないのだろうか。秋夕(チュソク、中秋)連休だった15日、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領夫人の金建希(キム・ゴンヒ)氏が障害児童施設を訪れて奉仕活動をしたという記事を見ながら出てきた嘆きだ。大統領夫人が不遇な人たちを助けることは政界の長い慣例であり社会統合に寄与するイベントとみることができる。しかし問題はタイミングだ。連休直前の12日、金氏と関連がある2つのニュースが出てきた。

1つ目、ソウル高裁が金氏がかかわった疑いが提起されたドイツモータース事件の2審で「銭主」ソン氏に対して1審の無罪判決を覆し、株価操作ほう助容疑で懲役6月、執行猶予1年の有罪を言い渡した。法曹界ではかなり以前からソン氏の容疑が金氏と似ているためソン氏の判決が金氏の起訴に大きな影響を与えるという見方があった。今回の2審判決で検察は金氏も起訴するべきとの世論の圧力を受けることになった。

2つ目、監査院が大統領室・官邸移転の工事に対する監査の結果を発表しながら、契約・施工・竣工の全過程に複数の不法・不正があったと明らかにした。ただ、金氏と関係がある業者が随意契約でインテリア工事に参加して論議を呼んだ部分に対し、監査院は随意契約について不法でないと釈明した。しかしすんなりとはうなずけない。2021年の営業利益が1億5000万ウォン(約1600万円)にすぎない業者が総合建設業の免許もないのに数十億ウォンの国家核心保安施設の工事をしたのは誰の影響だったかは明らかだ。捜査当局がこの問題を徹底的に調べればさらに何かが出てくるかもしれない。野党は「金建希特検」と官邸移転の疑惑まで究明しようとしている。

このように民心を刺激する悪材料が次々と出てきたにもかかわらず、平然と奉仕活動をする大統領夫人だ。国民に奉仕の心が伝わるよりも見せるためのショーをしているという反発を誘発する可能性がはるかに大きいだろう。さらに金氏はすでに10日、「麻浦(マポ)大橋視察」で論議を呼んだ状態だった。自殺予防活動だったというが、制服を着た警察官を立たせておいて金氏が手で指示するような写真が公開されると、世間では「誰が大統領なのか」という批判が出てきた。野党はもちろんで与党の人たちも首を振った。検察捜査審議委が6日、ブランド品バック授受疑惑に対して不起訴を勧告すると、金氏はすべての問題が終わったと考えて本格的に外部活動を再開しようとしたのだろうか。それなら大きな錯覚だ。

ブランド品バック問題は法的手続きがどうなろうと、本人の率直な公開謝罪がなければ民心をなだめることはできないイシューだ。金氏は大統領選挙中だった2021年12月、虚偽履歴問題を自ら収拾するために国民に謝罪したことがある。当時、尹錫悦候補側がいくつかの悪材料で大きく揺らぐと、金氏が正面突破を図ったのだ。ブランド品バック問題と比較すると、むしろ虚偽履歴は軽微なものだった。

金氏は年初、韓東勲(ハン・ドンフン)国民の力非常対策委員長に送ったメッセージで「虚偽記載問題で謝罪記者会見をした時むしろ支持率が10%ほど落ちた」とし、ブランド品バックの謝罪をしない理由に挙げた。これは間違った解釈だ。当時、尹候補の支持率が落ちたのは事実だが、それは尹候補と李俊錫(イ・ジュンソク)国民の力代表の葛藤と遅い選挙キャンペーンによる問題だった。最後まで金氏が謝罪会見をしていなければ大統領選挙の結果は変わっていたかもしれない。

金氏は当時の会見で「国民の視点に背かないよう、より一層慎重にする」とし「夫が大統領になっても妻の役割だけを忠実にする」と約束した。その約束を忠実に守っていれば、いま大統領夫人が政権の核心リスクになる不祥事はなかっただろう。謝罪が難しければ徹底的に隠居するのが次善策だ。避けられない必須行事を除いてメディアへの露出を最大限に避けるのがよいのではないだろうか。現状態では広報の写真に写れば国民をいら立たせるだけだ。

キム・ジョンハ/論説委員