レバノンの無線機爆発で製造元とされる日本企業、10年前に製造中止と説明

AI要約

18日にレバノンで発生した無線機の爆発事件について、日本の通信機器メーカー「アイコム」は製品の製造中止を説明し、自社製品が正確かどうか確認できない状況であることを明かした。

アイコムの製品が爆発したイベントに続き、台湾企業「ゴールド・アポロ」も関連付けられる可能性が浮上している。しかし、ゴールド・アポロの創業者は事件との無関係を主張している。

アイコムは、自社製品の特徴や製造時期、流通ルートについて説明し、模造品も存在する可能性を指摘している。

レバノンの無線機爆発で製造元とされる日本企業、10年前に製造中止と説明

シャイマ・ハリル、BBCニュース(東京)

レバノンで18日に相次いだ、イスラム教シーア派組織ヒズボラのメンバーらの無線機の爆発で、無線機にラベルが付いていたとされる日本のメーカーは19日、同種の機器は10年前に製造を中止しており、爆発したのが自社製品なのか確認できていないと説明した。

レバノン各地で18日に発生した無線機の異常では、ヒズボラが使っていたとされるトランシーバーなど数百機が爆発し、少なくとも20人が死亡、450人が負傷した。

爆発直後の写真や映像では、それらの機器は大阪に本社を置く通信機器メーカー「アイコム」が製造したトランシーバー「IC-V82」とみられる。

しかしアイコムは19日、IC-V82は10年間、製造も輸出もしておらず、作動に必要なバッテリーも製造していないと説明した。

レバノンでは17日にも、ヒズボラのメンバーらが使用するポケットベルのような小型通信機が数千機、各地で爆発し、少なくとも12人が死亡、2000人以上が負傷した。通信機は台湾企業「ゴールド・アポロ」と関係がある可能性があり、今回のアイコムと合わせ、一連の爆発ではアジアの企業2社が取り沙汰されることとなった。

ゴールド・アポロの創業者の許清光氏は、同社と爆発事件は一切関係がないと強調。ハンガリーの会社「BACコンサルティング」に商標の使用を認めていたと説明した。BBCはBACコンサルティングに取材を試みているが、連絡が取れていない。

アイコムは、同社のロゴが入った双方向無線機がレバノンで爆発したとの報道を把握しており、調査中だとBBCに説明。

声明では、「IC-V82は、当社が2004年から2014年10月にかけて中東を含む海外向けに生産・出荷していたハンディ型無線機です。約10年前に終売しており、それ以降本社からの出荷は行なっておりません。すでに本体を動作させるためのバッテリーの生産も終売しているほか、偽造品防止のためのホログラムシールが貼付されておらず、当社から出荷した製品かどうかは確認できません」とした。

また、すべての無線機は日本の同じ工場で生産されており、海外向け製品は正規代理店を通してのみ販売していると付け加えた。

これに先立ち、アイコムの米子会社の営業担当役員は、レバノンで爆発した無線機器は同社製ではなく、模造品のようだとAP通信に話した。また、模造品はインターネットで簡単に見つかるとした。

BBCが調べたところ、アイコムのIC-V82とされる機器がオンライン販売されているのがすぐに確認できた。

今回使われた機器が、サプライチェーンのどの過程で、どう利用されたのかは不明だ。また、爆発したのがIC-V82だったのか、偽造品だったのかも分かっていない。

レバノン紙アンナハルは18日、爆発したアイコムのトランシーバーは古い端末だったと伝えた。

ロイター通信は治安筋の話として、爆発したトランシーバーはヒズボラが5カ月前に購入したものだったとの報告があると報じた。

(英語記事 Japan firm says it stopped making walkie-talkies used in Lebanon blasts)