米国人の大半がウェブ上の選挙関連の情報を「信頼できない」との調査

AI要約

米国人の大半は、ウェブ上の選挙関連情報に対して懐疑的だが、テレビやラジオの情報を信頼している。

米国人はSNSやAIチャットボットの情報を信用せず、特にAIに関しては信頼していない傾向が強い。

選挙キャンペーンの情報にも信頼性が低く、ネット上では偽情報が広まっている。ロシアや中国、イランなどが陰謀論を拡散し、議論を巻き起こしている。

米国人の大半がウェブ上の選挙関連の情報を「信頼できない」との調査

米国人の大半は、ウェブ上の選挙に関する情報に対して「健全な懐疑心」を抱いており、テレビやラジオの情報のほうがより信頼度が高いと考えていることが最新の調査で判明した。

AP通信と全国世論調査センター(NORC)、USAFactsが実施した調査によると、SNSは政府に関する情報を得るための「最も一般的な情報源」のひとつである一方で、利用者はその内容をあまり信用していない。SNSを「とても信頼できる」と答えた米国人の割合はわずか10%で、3分の2は「少ししか信頼していない」もしくは「全く信頼できない」と回答した。

さらに、選挙の情報源として最も信頼されていないのが人工知能(AI)チャットボットであることも判明した。米国人の約3分の2は、AIの回答が「信頼に足るものかどうかに自信がない」と答えており、半数以上は「AIの回答のほとんどは事実に基づいていない」と考えている。

米国人の10人中4人は、「AIの影響で2024年の大統領選挙に関する事実に基づいた正確な情報を見つけることが困難になった」と考えているのに対し、AIによって「情報にアクセスしやすくなる」と考えているのはわずか16%だった。さらに、米国人は一般的に政治家の発言を信用していない。

「国民の多くは、今年の大統領選に関する情報に懐疑的だ。57%は、ドナルド・トランプのキャンペーン・メッセージの大半、もしくは全てが事実に基づいていないと考えており、45%がカマラ・ハリスのキャンペーン・メッセージについても同じ疑念を持っている」と研究者は述べている。

候補者の選挙キャンペーンを信頼していると答えた人の割合は、民主党支持者では10人中8人以上であったのに対し、トランプ支持者では3分の2にとどまった。

選挙が近づく中、ネット上では偽情報が氾濫している。その多くは、外国政府が発信し、拡散されたものと思われる。サイバーセキュリティ企業のレコーデッド・フューチャーによると、6月にはロシア政府に関連したインフルエンスネットワークが、ウェブサイトや生成AIを利用して虚偽の情報を広めていたという。

■生成AIが拡散する偽情報

その数週間後には、ロシア、中国、イランがトランプの暗殺未遂事件に関する陰謀論を拡散させていたことが、Alliance for Securing Democracyの分析によって明らかになった。さらに、キャンペーン団体のグローバル・ウィットネスによると、X(旧ツイッター)の生成AIツール、Grok(グロック)の回答の中にも、2020年の選挙で不正があったという主張をはじめとする陰謀論や偽情報が含まれていたという。

「グロックの回答を見ると、個々の政党や候補者について長所と短所の両方を提示するなど、選挙に向けての安全策が講じられているようだ。しかし、グロックが偽情報や有害なコンテンツを拡散させていたのは事実であり、この種のコンテンツがさらに多くのユーザーに拡散するのを防ぐためのセーフガードが十分だとは言えない」と研究者は述べている。

Xは、各州の投票期限について虚偽の情報を提供していたとする5人の州務長官からの書簡を受け、その内容を修正した。グロックは現在、選挙に関する質問をしたユーザーに対し、全米州務長官協会が運営する投票情報サイトのCanIVote.orgへのアクセスを推奨している。

「我々は、Xによるプラットフォーム改善の取り組みを評価している。この重要な選挙の年に、ユーザーが信頼できる情報源から正確な情報を得ることができるよう、同社が今後も改善を続けることを期待している」と5人の州務長官らは述べている。