金正恩委員長「中国は宿敵」…韓国も出席した中国建軍行事に北朝鮮は使節派遣せず

AI要約

北朝鮮の金正恩国務委員長が中国を「宿敵」と呼び、中国との関係が緊張する中、中国が北朝鮮の密輸行為に対する取り締まりを強化していることが背景にある。

金正恩の「宿敵」という発言が党や軍にも広がり、今後の北朝鮮の対中政策に影響を与える可能性がある。

また、中国と北朝鮮の公式行事において、お互い不満を隠さず出席しない姿勢が見られ、両国関係がさらに悪化している。

金正恩委員長「中国は宿敵」…韓国も出席した中国建軍行事に北朝鮮は使節派遣せず

朝中間に以前になかった摩擦が生じている中、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長が自ら中国を「宿敵」と規定したことが把握された。また、韓国を含む主要国がほとんど出席した中国の公式行事にも北朝鮮は外交使節を派遣しないなど不満を隠さずにいる。

複数の北朝鮮情報筋は19日、中央日報に「最近、金正恩委員長が自分たちに圧力を強める中国に向けて『宿敵』という発言をしたと聞いている」と話した。これに先立ち金委員長は7月、中国駐在の外交官に「中国の顔色をうかがうな」という指示を与えたが、これと似た脈絡とみられる。

金委員長が中国を「宿敵」と呼んだ脈絡と発言の対象は正確に確認されていない。ただ、中国が最近、北朝鮮の密輸行為に対する取り締まりを大々的に強化し、金委員長が使用する「1号物品」まで差し押さえて返還要求を拒否するなど強い措置を取っているため、これに対する反発の可能性が高いとみられる。

北朝鮮で金委員長の発言は党と軍組織内で体系的に伝播され、一種の行動指針として作用する。金委員長が中国を宿敵と呼んだ波紋は小さくないということだ。今後の北朝鮮の対中基調にもこうした「1号ガイドライン」が影響を及ぼす可能性が高い。

実際、北朝鮮は中国との関係を象徴的に見せることができる公開行事でも不満を隠さなかった。ある消息筋は「中国国防省が7月31日に北京人民大会堂で建軍97周年レセプションを開いたが、駐中北朝鮮武官が出席しなかった」と話した。

当時の行事には中国軍の劉振立統合参謀部参謀長、苗華政治工作部主任らが出席し、董軍国防相が祝辞を述べた。中国軍の首脳部が出席した大きな行事に中国駐在の北朝鮮武官団が出席しなかったことをめぐり、過去に中国の各種記念式に積極的に参加していた前例とは温度差が大きいというのが外交関係者らの評価だ。

中国政府は北朝鮮はもちろん自国に駐在するすべての国家の武官団に招待状を発送したという。特に韓国も招待を受け、中国に駐在する武官団が出席した。韓国も出席した行事に血盟の北朝鮮が代表団を送らなかったのだ。

別の情報筋は「北朝鮮は中国本土だけでなく海外のいくつかの中国大使館で開催された中国建軍記念日行事にも自国の公館職員を出席させなかったことが確認された」と伝えた。

中国も北朝鮮が主催する公式行事への出席に消極的だ。王亜軍駐朝中国大使は北朝鮮が停戦協定締結71周年を迎えて7月27日晩に平壌(ピョンヤン)体育館広場で開いた韓国戦争(朝鮮戦争)象徴縦隊行進行事に出席しなかった。

8日に平壌金日成広場で開かれた政権樹立記念日(9・9節)行事には馮春台大使代理を派遣した。これに関し中国外交部は「王大使は国内(中国内)で休暇中」と明らかにしたが、北朝鮮が毎年記念してきた最大行事が開かれる時期に王大使があえて任地を空けて個人休暇を取ったこと自体が普通でないという指摘だ。

金委員長が中国を「宿敵」と表現して反感を表したのは今回が初めてではない。国家情報院1・3次長を務めた峨山政策研究院のハン・ギボム客員研究委員は金委員長が2015年初め「米国・日本は100年の宿敵だが、中国は5000年の宿敵だ。中国がなくても生きていけるため中国にわずかな譲歩もしてはいけない」という指示を出したと紹介した(『北朝鮮の対南敵対政策と対外政策連係』報告書、3月発表)。

当時は韓中関係に比べて朝中関係が相対的に疎遠になった時期だった。2014年7月に中国の習近平国家主席が北朝鮮より先に韓国を訪問すると、金委員長がこれを「背信行為」と見なしたというのが、ハン元次長の説明だ。その後、金委員長は2015年、対外政策目標を「対ロシア関係拡大・発展」に設定したという。

金委員長が最近また中国を「宿敵」と規定したのは、現在の朝中関係を約10年前の水準と認識しているという意味とも考えられる。慶南大極東問題研究所のイム・ウルチュル教授は「金正恩政権の核心政策である核問題で朝中両国間に根本的な隔たりが存在すると推定される」とし「中国が国際社会の対北朝鮮制裁を履行しようとする意志を見せ、主要密輸ルートまで取り締まりを強化していることも、両国関係に一定の影響を及ぼしたはず」と話した。