【最新研究】保育園に空気清浄機を置くと「子供の病気が18%減少」
フィンランドの新しい研究により、空気清浄機の導入が子供の病気を18%減少させることが示された。
空気浄化システムが空気感染症の蔓延を軽減できる可能性が高まり、空気中の粒子に影響を与えることが明らかになった。
ウイルスが空気感染によって広がる可能性が高いことが示され、室内の空気の質を改善することが重要である。
保育園や学校は、「風邪の温床になり得る」。
そう言われてきたが、フィンランドの新しい研究により、空気浄化システムを導入するだけで空気感染症の蔓延を軽減できることがわかった。
同研究によれば、ヘルシンキの4つの異なるデイケア(保育園)で空気清浄機を設置したところ、子供の病気が18%減少したという。
研究は2年間にわたって実施された。
対象となった4つのデイケアは、どこも換気システムを備えており、室内の空気の質は良好だった。研究者たちは、室内のきれいな空気の量を、調査開始時の2倍にすることを目指し、そのために充分な数の空気清浄機も導入したという。
同研究では、この4つのデイケアの対照群として「空気清浄機のないデイケア」も調査している。
合計51人の子供が研究に参加しており、調査期間中、2回の冬の間に被験者たちの病気を追跡したところ「空気清浄機を設置したことで、子供の病気が18%減少した」という。
換気システムや空気清浄機は、空気中を移動する粒子のみに影響を与え、たとえばモノの表面に付着している細菌には影響を与えない。
このことから、同研究結果は「ウイルスは主に飛沫や直接接触によって広がるという概念に疑問を投げかける」ものであり、「ウイルスは空気感染によって広がる可能性が高い」ことを示していると、米誌「ファスト・カンパニー」は報じている。
また、研究者らは「空気を浄化するだけで、病気の感染を軽減できる」と強調している。
パンデミックにより、「ウイルスは、濃厚接触(または誰かが側で咳やくしゃみをしたとき)だけでなく、空気を介して広がる可能性がある」という事実に、より多くの注目が集まるようになった。
新型コロナウイルス感染症が拡大して最初の数週間は、6フィート(約183cm)離れて立つソーシャルディスタンスと、手を洗うことに重点が置かれていたが、研究者らはのちに、ウイルスが空気を介して広がっていることを発見した。
この経験を経て、以前よりも室内の空気の質に関心を持つ人も増えている。そんななかで専門家らは、「室内の空気を良くすることは病気の予防に役立つだけではない」と強調する。
これまでの研究では、室内の空気の質が向上すると、学生のテストの成績が向上したことが示されている。また、室内の二酸化炭素の濃度が高くなると、眠気、頭痛、意思決定の低下などの問題につながることも示唆されている。
専門家によれば、室内の二酸化炭素は、換気システムのない場所で「複数の人たちが会話をする」だけでも高まる。
ハーバード公衆衛生大学院の健康建築プログラム・ディレクターは同誌にこう語っている。
「家などの室内の空気汚染は屋外よりも5~10倍悪化する可能性がある」
「『健康的な室内空間』というのは、その室内の空気に注意を払わずして作ることはできない」