ベラルーシに「スパイの親玉」と名指しされた社長が激白 「拘束された中西さんは本当に普通の人」

AI要約

ベラルーシで日本人がスパイ容疑で死刑宣告される事件が発生。現地メディアはスパイ容疑を強調して報道。

番組は誇張や歪曲が見られ、スパイ容疑をかけられた日本人との関係が事実無根と証言される。

事件の背景や雰囲気を描写し、事件の謎や矛盾が浮かび上がってきている。

ベラルーシに「スパイの親玉」と名指しされた社長が激白 「拘束された中西さんは本当に普通の人」

 ベラルーシでは、スパイとして捕まり「テロ罪」が適用されると、死刑が宣告されるという。東京から8000キロも離れた異国の地で、邦人がスパイ容疑で拘束された謎多き事件の真相はいかに。現地メディアで“スパイの親玉”と名指しされた社長の激白である。

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 ベラルーシの国営放送が「トウキョウから来たサムライの失敗」と題した特別番組を放送したのは、今月4日のことだった。

 冒頭で〈わが国で初めて日本の諜報機関の活動が摘発され、日出づる国からの情報機関のメンバーが拘束された〉などと、自国の治安当局(KGB)によるお手柄を強調。手錠をかけられ連行される50代の邦人が映し出され、現地のゴメリ国立大学で日本語講師を務めていた中西雅敏さんをスパイと断定している。

 戦火を交えるロシアとウクライナ双方に隣接するベラルーシは、1994年からルカシェンコ政権が居座り、“欧州最後の独裁国家”と呼ばれている。

 かような国なので、国営放送といってもいい加減。番組タイトルからしてスパイを日本風に例えるなら〈サムライ〉ではなく〈ニンジャ〉とするのが適当ではないか。実際に視聴してみると、事実を歪曲した場面が散見され、中西さんのスパイ容疑自体、その真偽が問われてしかるべき内容なのだ。

 その最たる例が、中西さんが情報提供していたとされる〈日本の軍事機関の上官〉とのやり取りを紹介したシーンである。

「番組の内容は完全なプロパガンダですよ」

 と憤るのは、〈上官〉として紹介された日本人男性。実際には長野県内にある一民間企業の社長であり、特番の内容は“事実無根”だとして、こう続ける。

「私は会社としても個人としても、ベラルーシが言うような諜報機関との付き合いはありませんし、まったく関係ありません。たしかに中西さんは別れた女房の兄なので、面識はあります。8年前に元妻と結婚した直後、ベラルーシに行って会ったことはありますが、その後は社交辞令的にLINEで年に1~2回メッセージを送り合う程度の関係。ちょうどロシアがウクライナに侵攻した時期だったので、気を付けてという意味でメッセージを送りました」

 特番では、中西さんが6年前からベラルーシに住み始め、ウクライナ国境に近い空港や鉄道の駅、橋といった交通インフラなどの写真を9000枚以上も撮影。LINEなどを通じて日本へと送信していたが、その相手の一人が、この〈上官〉だったというのだ。