ロシアの爆撃から子供たちを守れ ウクライナ初の「地下学校」始まる

AI要約

ウクライナ第二の都市ハルキウで始まった地下学校について。長引く戦争の影が学校に色濃く反映され、生徒たちが地下で学ぶ様子が描かれる。

地下学校は最年長の生徒と最年少の生徒が共に学ぶ場であり、生徒たちは思い出を大切にしようとしている。

ウクライナの戦争やパンデミックの影響で多くの学校が破壊され、児童生徒はオンライン授業を受けざるを得ない状況が続いている。

ロシアの爆撃から子供たちを守れ ウクライナ初の「地下学校」始まる

ロシアとの国境に近い、ウクライナ第二の都市ハルキウで、新学年のスタートに合わせて、ウクライナ初の「地下学校」が始まった。長引く戦争の影が色濃く反映された学校の悲喜こもごもな滑り出しを、米紙「ワシントン・ポスト」が取材した。

ポリーナ・ザモルスカ(16)が最後に教室に足を踏み入れたのは、もう2年半以上も前のことだ。だが、第80学校での最終学年には、教室に戻ることにした。

ただし、そのためにポリーナは地下に潜らなければならなかった。

新学年が始まった9月最初の月曜日、ポリーナは色とりどりの刺しゅうが入った伝統衣装の白いチュニックに身を包み、母と一緒に、ウクライナ初となる常設の地下学校へと向かった。

そこでは、これから毎週かわりばんこで学校を使うことになる、最年長の生徒と最年少の生徒がお祝いをすることになっていた。

「できるだけいっぱい思い出を作りたいです」とポリーナは言う。

地下6メートル近くのところに多額の資金を投じて作られたこの学校は、レモンライム色やミカン色の教室が長く連なった造りになっている。

最新式の換気システムに、避難経路を示す矢印のパターンが配置された壁──教育施設というよりは宇宙船内のように見える。だが、地下鉄の駅で授業をしたり、もう1年自宅で学習したりするよりはいい。

新学年が始まった翌日には早くも危険が感じられた。ハルキウから160キロも離れていないポルタバ市にある軍事施設に弾道ミサイルが2発打ち込まれて、大勢の児童生徒が亡くなったのだ。

2022年にロシアがウクライナに侵攻して以来、無数の学校ががれきと化したままになっている。安全な代替案はなく、2023年も国内で90万人以上の子供がオンライン授業を余儀なくされた。

なかには、2020年にパンデミックが始まって以降、対面授業を受けていない子供もいる。その影響は明らかだ。ある研究によれば、ウクライナの児童生徒は求められる教育レベルに1年半も後れをとっているという。