北京でアフリカ53カ国との首脳会議。中国は経済低迷のなか7兆円拠出で存在感アピール

AI要約

中国が主催する中国とアフリカ53カ国首脳会議「アフリカ協力フォーラム」が開催され、中国はアフリカとのパートナーシップ強化を図りました。

会議では、中国がアフリカに7兆円余を投資することを表明し、貿易や投資計画の再活性化を図っています。

中国とアフリカ各国との関係強化が重要視される中、経済支援は減少傾向にあります。

北京でアフリカ53カ国との首脳会議。中国は経済低迷のなか7兆円拠出で存在感アピール

中国が主催する中国とアフリカ53カ国首脳会議「アフリカ協力フォーラム」が9月4日から6日まで開催された。

西側諸国との摩擦が激化するなか、この会議で中国はアフリカ諸国の主要パートナーとしての立場を内外にアピールし、「一帯一路」で結束することに力を入れた。一部専門家の間では、中国の経済悪化で、これまでのような大規模な融資は不可能になったとみていたが、中国はインフラや軍事分野などで日本円にして総額7兆円余を拠出すると表明した。

米紙ワシントン・ポストによると、2000年から3年ごとに開催されている同会議は、グローバルサウスと呼ばれる新興国・途上国に対する中国の重要な外交活動と位置付けられ、狙いは世界貿易と地政学を再編し、米国とその同盟国に対する中国の影響力を強化することだという。

北京大学の周咏梅教授は同紙に、「中国が世界でより発言力と存在感を示そうとしているという米国政府の認識は正しい」とし、「それは良いことだと思う。時間が経つにつれて中国はもっと積極的になるだろうが、世界統治システムも発展途上国の声に耳を傾ける方向へ向かうだろう」と述べた。

中国の王毅外相は9月2日、中国共産党の機関紙・人民日報に、中国とアフリカ53カ国首脳会議は中国政府にとって今年最も重要な外交行事と前置きし、「南半球諸国の団結と協力の新たなページを記す」ことになると語った。

同紙はまた、この会議が習近平国家主席にとって、アフリカ大陸との特別な関係を強化し、コロナ禍で低迷した「一帯一路」の貿易投資計画を再度活性化させる機会にすることを目指していると伝えた。

今回9月4日の開催初日を前に習主席は9月2日と3日、ナイジェリア、南アフリカ、マリ、コモロ、トーゴ、ジブチ、セイシェル、チャド、マラウイなど10カ国以上のアフリカ首脳と個別に会談し、パートナーシップ強化を図った。

南アフリカのラマポーザ大統領との会談では、中国が原毛と乳製品の輸入を増やすことで貿易バランスを是正し、南アフリカの雇用改善策についても中国が協力することで合意。習氏はラマポーザ氏に「国際情勢が複雑化するほど、南半球諸国は独立を守らなければならない」と伝えたと中国国営メディアは報じた。ただ、中国による融資の詳細は明らかにされなかった。

さらに、ロイター通信によると、ナイジェリアのティヌブ大統領との会談で習氏は、より「強力な」企業にナイジェリアへの投資を奨励すると表明。ティヌブ氏は、中国企業の工場建設やエネルギー・鉱物資源の開発に前向きだと伝えた。両国の共同声明によると、中国は電子商取引(EC)と物流部門においてナイジェリアを歓迎し、同国経済の多様化と繁栄を支援することを望んでいるとした。

これまでの中国とアフリカ各国との首脳会議では、中国による巨額の財政支援が議題の中心で、2015年と2018年の会議では合計600億ドル(約8兆7000億円)の支援を約束した。だが、中国の経済減速と一部のアフリカ諸国の債務問題が重なり、今年は大規模な支出パッケージが実施される可能性は低いとアナリストらはみていた。

「たとえ政治的な関係が強く、双方にまだ熱意があるとしても、資金供給は以前ほどではなく、アフリカ諸国が中国から借り入れる能力も以前ほどない」と英シンクタンク「海外開発研究所」のユンナン・チェン研究員は分析した。