イタリアの「高いホテルに泊まる観光客に1泊約4000円の追加税案」は、歳入を生み出しながらオーバーツーリズムに対処する方法になり得るのか?

AI要約

イタリア政府が高価なホテルに滞在する観光客に新たな観光税を検討している。税収増加とオーバーツーリズム対策を目的としている。

イタリア旅行業界は回復しており、外国人観光客の数は徐々に増加している一方で、オーバーツーリズムへの懸念も高まっている。

都市部では外国人観光客とその宿泊施設に観光税を課すことが可能で、徴収金額はホテルのランクによって異なる。新たな観光税案では最大25ユーロの課税が検討されている。

イタリアの「高いホテルに泊まる観光客に1泊約4000円の追加税案」は、歳入を生み出しながらオーバーツーリズムに対処する方法になり得るのか?

歳入を生み出しながらオーバーツーリズムの問​​題に対処する方法として、イタリア政府は「高価なホテルに滞在する観光客に、新たに1人1泊最大25ユーロ(約4040円)の税を課すこと」を検討している。

この観光税の引き上げは、人気の都市の歳入を増やし、「遺産の保護やゴミ収集の改善、全体的なサービスの質を向上させることが目的」であると、米誌「フォーチュン」など各紙が報じている。

ただ、英紙「フィナンシャル・タイムズ」によれば、実際には多くの都市が「資金繰りに困っている」という現実もあるという。

イタリアの旅行業界は、力強い回復を見せており、2023年の外国人観光客の数は、パンデミック前の水準と同等の約6500万人と推定されている。

その一方で、イタリアのいくつかの都市では、オーバーツーリズムに対する国民の反発が高まっている。

たとえば、ルネサンス文化発祥の地であるフィレンツェでは、約37万人の市人口に対し、年間1000万人以上の観光客が訪れている。

これにより、歴史ある都市の中心部が伝統的な特徴を失い、また、都市部のアパートが短期貸別荘に転用されることが増えたことで、地元のイタリア人のなかには、手頃なアパートの不足や家賃高騰に悩まされる人たちが増えている。

同紙によれば、イタリアの都市では、外国人観光客とイタリア人観光客の両方の宿泊に対して税金を課すことができる。徴収する金額は各ホテルやゲストハウスの「星の数に応じて」おり、いまのところは通常、1人1泊あたり1~5ユーロ(160~810円)の範囲となっている。

しかし、もしこの追加の観光税案が可決されれば、最大約5倍に跳ね上がる可能性も出てきている。

同紙が入手した最新の情報によれば、この追加の観光税案では上限を、1人1泊あたり100ユーロ(約1万6000円)未満の安いホテルやゲストハウスの場合は5ユーロ(約810円)、400~750ユーロ(約6万4700~12万1300円)の場合は15ユーロ(約2430円)、750ユーロ(約12万1300円)を超える高価な宿泊施設の場合は25ユーロ(約4040円)で検討しているという。