バフェットが現金を貯め込んでいるのは市場崩壊のシグナルではない(海外)

AI要約

バークシャー・ハサウェイが史上最高の1890億ドルの現金を保有しているが、株式市場の暴落は迫っていない。

バフェットが現金を投資する価値を見出せないという憶測について、ファンドマネージャーは疑問を呈している。

バークシャー・ハサウェイの現金の割合は長期的な平均と同程度であり、バランスが取れているとの考えが示されている。

バフェットが現金を貯め込んでいるのは市場崩壊のシグナルではない(海外)

バークシャー・ハサウェイは1890億ドルという記録的な現金を保有している。

ファンドマネージャーのクリス・ブルームストランよると、同社が巨額の現金を保有しているからといって株式の暴落が間近に迫っていると心配する必要はないという。

「誰もがこの数字に興奮し大げさに騒ぎ立てているが、それほど大きな数字ではない」ブルームストランは話している。

バークシャー・ハサウェイ(Berkshire Hathaway)は2024年7月、第1四半期の決算を発表したが、弱気な投資家たちがウォーレン・バフェット(Warren Buffett)が1890億ドル(約27兆5365億円)という記録的な現金の山を持っていることを指摘した。

これらのコメントを寄せた投資家たちによると、バフェットは現在の株式市場の非常に高いバリュエーションには巨額の現金を投資する価値を見出せないと考えているため、株式市場は近いうちに大幅な下落に見舞われる可能性があるという。

約5億5000万ドル(約801億円)の資産を運用し、バークシャー・ハサウェイを最大の運用先とするとしているセンパー・アウグストゥス(Semper Augustus)のファンドマネージャーであるクリス・ブルームストラン(Chris Bloomstran)によると、実際それは真実からほど遠いという。

2024年7月のBusiness Insiderとのインタビューで、ブルームストランは、バークシャー・ハサウェイの現金の山にはもっと微妙なニュアンスがあり、バフェットが株式市場に弱気であるとか、株式市場の暴落が迫っているという考えを反映しているわけではないと説明している。

「みんな興奮して大げさに言っているがそれほど大きな数字ではない」とブルームストランは言う。

バークシャーの現金の山を考える

ブルームストランによると、投資家たちはバークシャー・ハサウェイのキャッシュポジション(現金や流動資産の状況)を絶対額で測定するのではなく、保有している現金を同社の総資産に占める割合で測定した方がいいという。

バークシャー・ハサウェイの総資産に対して測定した場合、現在のキャッシュポジションは17.5%となり、長期の平均とほぼ同じ水準だ。ブルームストランによると、バークシャー・ハサウェイは1997年以降バランスシートに占める現金の割合を資産の平均13%に保っている。

バークシャー・ハサウェイのキャッシュポジションを見るもう一つの方法は、同社の時価総額と比較することだ。バークシャー・ハサウェイの1890億ドルの現金は、実際にはかなり正常化した水準にあり、2004年のピーク時の40%近くを大きく下回っている。

バークシャー・ハサウェイは現金の保有が必要

バークシャー・ハサウェイが2000億ドル(約29兆円)近い現金を保有しているからといって、十分大きなターゲットを見つけた場合にその現金をすべて投資できるわけではない。

「現金のうちは合法的に投資できるのはおよそ半分だと思う」とブルームストランは言う。

これは、バークシャー・ハサウェイが大規模な保険事業を展開しているため、潜在的な保険金の支払いに備えて十分に資金を確保しておく必要があるからだ。

バフェットは、バークシャー・ハサウェイが予想される潜在的な保険金の支払いに備えて約300億ドル(約4兆3644億円)の現金の準備を維持すると述べているが、ブルームストランはより保守的なアプローチをとっており、1年間の予想される保険金の損失に備えて約500億ドル(約7兆2740億円)を上乗せしている。

「したがって我々は820億ドル(約11兆9283億円)が永続的な手元資金だと考えている」とブルームストランは投資家向けの年次書簡で述べている。