韓国国家安保室次長「ハリスの安保参謀の名は馴染みない…私が教えなければ」

AI要約

トランプ前大統領が政権を奪還すると、米国と韓国の安保関係が変化する可能性がある

トランプ政権下では北朝鮮に対する抑止政策が弱まる可能性が指摘されている

ハリス候補が当選した場合、対中国政策においてバイデン政権の戦略を継承すると予想されている

韓国国家安保室次長「ハリスの安保参謀の名は馴染みない…私が教えなければ」

 「(トランプ前大統領が政権を奪還すると)米国(が韓国に提供してきた)安保の傘が弱まる可能性がある」

 国家安保室のキム・テヒョ第1次長は3日、11月に行われる米国の大統領選挙と関連して、このような見通しを示した。

 キム次長はこの日、ソウルの世宗研究所で「米国大統領選挙と韓国の外交安保戦略」というテーマで行われた第1回世宗オープンフォーラムでの講演で、「(第2次トランプ政権が成立すると)米国は韓国に提供する戦略資産の展開についても、コストの観点から協議しようと言ってくる可能性がなくはない」との見通しを示した。

 同盟をコストの観点からみるトランプ前大統領が政権に返り咲くと、北朝鮮の脅威に対応する米国の拡大抑止政策がバイデン政権のそれより弱まる可能性があるというのだ。

 キム次長は、トランプ前大統領が当選したら「北朝鮮との首脳会談をやりたがるだろう」とし、「金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮国務委員長はそのようなトランプのショーマンシップを利用して『通米封南(韓国を排除したうえでの米国との直接対話)』戦略を駆使するだろう」と予想した。

 同氏は、第1次トランプ政権の北朝鮮核交渉に言及してから「かつてのような『スモールディール』(核の凍結、長距離ミサイルの廃棄などの見返りとして制裁緩和などの補償を提供する低い段階の合意)は再現しないだろう」との予想も示した。

 キム次長はただし、トランプ前大統領が当選したとしても、昨年の韓米日のキャンプ・デービッド首脳会談での合意に大きな影響はないと予想した。同氏は、「既存の北朝鮮ミサイル警報情報リアルタイム共有システムと、複数年にわたる3カ国訓練計画、サイバー協力などの安保分野があるため、米国が絶対に必要とするキャンプ・デービッド合意の成果には手を付けないだろう」とし、「危機と機会の要因が極端に併存するため、もう少し果敢で精巧な戦略が必要だ」と強調した。

 民主党のハリス候補については、「(韓国を)実用主義にもとづいた規範を基盤とする国際秩序を共に作る強固なパートナーとして見ている」と述べた。ハリス候補が「同盟国の利益増進も米国の目標の一つと考え、対立があったとしても同盟国と利益を分かち合いながら敵対国やライバル国の利益を相対的にけん制する連帯のあり方を選択する」という分析だ。キム次長は、ハリス副大統領が当選すれば、対中国政策では「バイデンのディリスキング(derisking)戦略を精巧に駆使すると予想する」と述べた。

 ただし「ハリス副大統領に外交・安保について助言する参謀たち、社会問題について助言する戦略家たちの名前は馴染みがなく、彼らが政権を取った時に米国政府などで強力なカリスマを発揮できるかは少し心配になる」との見通しを示した。

 そして「彼らを相手にした時、私が教えなければならないという気がする。早く重要な問題を選択して始動をかけなければならないが、彼らが把握し、業務に慣れ、確信を持つまでには時間がかかるだろう」との懸念も示した。

 続けて「既存のベテランたちを外から輸血して重量感のあるメンバーたちがコンビネーションされれば、韓国も同盟を相手にしやすくなると心の中では思う」と付け加えた。講演を聞きに来た聴衆にわかりやすく説明するとの趣旨でおこなった発言だが、同氏が大統領の高位外交参謀であることから、ややもすると同盟相手に「傲慢」だとの印象を与えかねない発言だ。

 先日物議を醸した自身の「重要なのは日本の気持ち」(16日のインタビュー)発言については、「重要なのは日本の気持ちを把握し、よく落ち着かせることだとの前後の脈絡があるが、インタビューが短かったものだから短く切って言ったことが、フェイクニュースを作りたがる人々に口実を与えるものになった」と述べた。

イ・スンジュン記者、パク・ミンヒ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )