人質死亡責任論…ネタニヤフ首相に怒った70万人、街頭へ=イスラエル

AI要約

6人の抑留された人質の遺骸が返還され、イスラエル市民が怒りを表明してデモを行った。要求はネタニヤフ首相辞任と即時休戦。

全国的なデモでテルアビブに55万人が参加し、犠牲者を追悼。市民は政府の休戦交渉に疑念を持っている。

ヒスタドルートのゼネストが行われ、労働法院の判断で一時ストライキが終了。内閣内でも不協和音が広がりつつある。

人質死亡責任論…ネタニヤフ首相に怒った70万人、街頭へ=イスラエル

ハマスに抑留されていた人質のうち6人が遺骸で返ってくると、1日(現地時間)、怒りに充ちたイスラエル市民が街頭に溢れ出た。エルサレムではデモ隊が総理室を取り囲んだ。外信は前例ない規模のデモがガザ戦争の転換点になるかもしれないと分析した。

この日、CNNによると、イスラエル人質・行方不明者家族フォーラムは全国的に70万人がデモに出て、なかでもテルアビブでは55万人が参加したと明らかにした。昨年10月戦争勃発以来、最大規模だ。イスラエルの総人口は930万人ほどだ。市民は犠牲者追悼のために黄色いリボンを付けて、空の棺を持って出てきて、ネタニヤフ首相辞任と即時休戦を要求した。これに先立ち、イスラエル国防軍は先月31日、ガザ地区南部ラファのあるトンネルで銃によって負傷した人質6人の遺体を回収した。

市民の怒りがネタニヤフ政権へ向かうのは、極右派と連立政権を構成中のネタニヤフ首相が内閣崩壊を防ぐためにわざと休戦交渉を異常な方向へ進めているという疑惑を買っているからだ。先月29日にガザ地区とエジプトの国境地帯(フィラデルフィ回廊)にイスラエル国防軍を駐留させることにするなど、ハマスが受け入れられないような条件を協議案として出したこともその一つだ。テルアビブ市民のシュロミット・ハコーヘンさんはタイムズ・オブ・イスラエルに「ネタニヤフは人質の命ではなく政権存続のために行動している。だから『とまれ』というのだ」と話した。息子が人質に取られたという女性は「ネタニヤフは人質が全員死ぬまでロシアンルーレットゲームをしようとしている。そのままにはしておかない」と怒りをあらわにした。

約80万人の組合員を置いたヒスタドルート(イスラエルの労働者総連盟)は2日、ゼネストに入った。ベン・グリオン国際空港はこの日午前8時からストライキに突入し、バスや電車も止まって公共交通に支障が出た。ストライキの余波で小学校と中学校は授業が午前に短縮され、一部地域では幼稚園が休園となった。ただし、労働法院がストライキ中断を要求する政府の仮処分申請を受け入れたことで、ヒスタドルートはこの日午後ひとまずストライキを終了した。

内閣からも不協和音が出てきた。ガラント国防長官は先月30日の内閣会議で「人質の命が危ない」としてフィラデルフィ回廊に対する軍駐留に反対した。ガラント国防長官はネタニヤフに向かって「あなたはハマス指導者シンワルの指示を受けている。さらには人質を処刑する権限も持っている」と皮肉ったと現地メディアは伝えた。だが、ネタニヤフ首相はこの日、「24~48時間内にハマスが代償を支払うことができるような方案を用意しなければならない」と指示したという。