日中、細るパイプ…二階氏、習国家主席と会談なし 「対米追従」姿勢にいら立ちにじむ

AI要約

中国での日中友好議員連盟の訪問の成果が限定的であり、日本外交への批判も浮上している。

二階俊博会長は習近平国家主席との会談や日本人へのビザ免除再開を目指したが、結果は得られず。

日本政府は対中戦略の再構築を迫られる状況にあり、今後の展開が注目される。

日中、細るパイプ…二階氏、習国家主席と会談なし 「対米追従」姿勢にいら立ちにじむ

 【北京・伊藤完司】超党派の日中友好議員連盟の二階俊博会長(自民党元幹事長)らが29日、中国での3日間の日程を終え、帰途に就いた。親中派として知られる二階氏は独自の中国人脈を持つが、習近平国家主席との会談は実現せず、日本人への短期滞在査証(ビザ)免除の再開など懸案も進展しなかった。米中対立が続く中、中国が「対米追従」に見える日本外交にいら立ち、軽視する姿勢がにじんだ。

 中国の王毅外相は28日の二階氏らとの会談に40分ほど遅れて着席。「米国と長時間議論したので喉が渇いた」と漏らしたという。

 王氏は27、28両日、北京でサリバン米大統領補佐官(国家安全保障問題担当)と会談し、台湾や南シナ海、通商などについて協議。29日には習氏とサリバン氏の会談もあった。昨年11月の米中首脳会談以降、閣僚らが往来して両国関係の安定化を模索している。

 中国政府関係者は二階氏について「日本の政治家の中で中国とのパイプの太さが突出している」と指摘する。2019年には安倍晋三首相(当時)の特使として北京を訪問。中国側は「首脳級の待遇」で迎え、習氏とも会談した。それだけに日本政府側には習氏との会談だけでなく、個別課題の進展に期待感があった。

 だが、王氏や共産党序列3位の趙楽際・全国人民代表大会(全人代)常務委員長らとの会談で成果は得られず、厚遇とはほど遠い結果となった。

 共産党機関紙、人民日報系の環球時報(ウェブ版)は28日、日本外交について「米国追従で中国に敵対的」「日本政府が正式に日中関係を改善する姿勢を示さなければ、二階氏のような人物に頼っても効果は限定的だ」と指摘する専門家のコメントを紹介した。

 世界各国の首脳や外相が中国を相次いで訪問する中、日本の首相・外相の訪問は23年4月の林芳正外相(当時)以来、途絶えている。二階氏が次期衆院選への不出馬を表明し、政界引退を控える中、貴重な中国人脈を引き継ぐ政治家も見当たらない。山積する課題を前に、日本は対中戦略の再構築を迫られている。