プーチン氏は「理性的」 イラク大量破壊兵器査察のブリックス氏

AI要約

ハンス・ブリックス氏がロシアのプーチン大統領を理性的だと称賛し、ウクライナの原子力発電所での危険性について議論。

ブリックス氏がイラク侵攻におけるアメリカの誤りを指摘し、戦争を非難。

ブリックス氏は紛争の将来について楽観的であり、最近の著書についても触れる。

【AFP=時事】国連監視検証査察委員会(UNMOVIC)の委員長を務めたハンス・ブリックス(Hans Blix)氏(96)がこのほどAFPのインタビューに応じ、ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は「非常に理性的」で「自分が何をしているのか分かっている」ので、自国軍がウクライナで制圧しているザポリージャ(Zaporizhzhia)原子力発電所で大惨事を引き起こすリスクを冒すことはないとの見方を示した。

 ブリックス氏はスウェーデンの首都ストックホルム中心部の自宅アパートで、さまざまな問題について語った。

 ブリックス氏は元スウェーデン外相で、1981~1997年に国際原子力機関(IAEA)事務局長を務めた。1990年に湾岸戦争(Gulf War)が始まる前、イラクは核兵器を開発していないと繰り返し主張していた。

 その後、UNMOVIC委員長に就任。イラクのサダム・フセイン(Saddam Hussein)政権が大量破壊兵器を保有しているかどうかの判断を任され、確証には至らなかった。

 この調査結果と矛盾する主張を唱えていた当時のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)米大統領は、2003年にイラク侵攻を命じた。

 イラク侵攻についてブリックス氏は、「誤った情報と、われわれよりも米国の情報機関の方が事実を把握しているという傲慢(ごうまん)さに基づく、米国側のひどい過ちだった」「イラク戦争(Iraq War)は正道を外れていた」と語った。

 米国は当時、ロシアや中国の介入リスクにさらされておらず、英国と共に「世界の保安官」を自認していたとブリックス氏は指摘する。

 世界の紛争の将来については、当時よりも楽観的だ。

 昨年、「A Farewell to Wars(戦争に別れを)」と題する本を出版した。ウクライナとパレスチナ自治区ガザ地区(Gaza Strip)で紛争が激化している現状を踏まえると、「非常に挑発的」な書名だと認めた。