ハリス氏「分断と決別」 米大統領選民主党指名受諾演説、「強い中間層をつくる」

AI要約

ハリス副大統領が受諾演説、大統領選への意気込みを語る。

中間層の生活向上を最優先課題に掲げる。政策や外交面にも強い決意を示す。

トランプ前大統領を批判し、選挙戦の気勢を高める。テレビ討論会の予定も発表。

ハリス氏「分断と決別」 米大統領選民主党指名受諾演説、「強い中間層をつくる」

 【シカゴ古川幸太郎】米中西部イリノイ州シカゴで開催中の民主党大会は最終日の22日、大統領候補に指名されたハリス副大統領(59)が受諾演説した。女性、アジア系として初の大統領を目指すハリス氏は「すべての米国民の大統領になる」と表明。「強い中間層は米国の成功に不可欠だ」と訴え、中間層の生活向上を最優先課題に挙げた。

 演説冒頭、ハリス氏はバイデン大統領(81)の選挙戦撤退から急転直下で大統領候補になった経緯を「この数週間は予期せぬものだった。しかし私は思いがけない旅に慣れている」と振り返り、準備不足との指摘に反論した。

 政治的分断が進む米国にとって、今回の選挙は「分断の過去と決別し、前に進むため新たな道を切り開くチャンスになる」と強調。激戦州の勝敗を左右する中間層に向け「雇用創出、経済成長、物価高や住宅不足の解消、社会保障とメディケア(高齢者向け公的保険)を守る」として、1億人以上が恩恵を受ける減税法案を可決させるとアピールした。

 力を入れる政策としては人工妊娠中絶や性的少数者の権利擁護、銃規制と気候変動対策の推進を掲げる。

 外交面では「中国との競争に打ち勝ち、世界における米国の指導力を強化する」と述べ、ウクライナへの支援を継続するなどバイデン政権を継承する考えを示した。パレスチナ自治区ガザ情勢を巡っては「イスラエルの自衛権を支持する」と明言する一方、多くの民間人に犠牲者が出ている現状について「胸が張り裂けそうだ」と表現。「今こそ人質解放と停戦で合意する時だ」と訴えた。

 対立候補である共和党のトランプ前大統領(78)については「ふざけた男だ」と批判。2021年の議会襲撃事件などで起訴されたトランプ氏が返り咲けば「強大な大統領権限を国民ではなく、自分のために行使する。極めて深刻な結果になる」と危機感をあらわにした。

 民主、共和両党とも党大会を終え、選挙戦は残り2カ月余り。ハリス氏とトランプ氏の初の直接対決となるテレビ討論会は9月10日に予定されている。