ウクライナはなぜロシアに侵攻し、イスラエルはなぜイラン国内で暗殺を行ったのか...ゼレンスキー大統領とネタニヤフ首相の「危険な賭け」の「恐るべき真意」

AI要約

イスラエルのネタニヤフ首相と、ウクライナのゼレンスキー大統領がイランとロシアに挑発的な軍事行動を取り、両国を巧妙に牽制している。

ネタニヤフ首相はイランの反応を狙い、第5次中東戦争に発展する可能性も視野に入れている。

ネタニヤフ首相はイランとのチキンレースを強気で戦い、停戦を有利に取り付ける狙いもある。

ウクライナはなぜロシアに侵攻し、イスラエルはなぜイラン国内で暗殺を行ったのか...ゼレンスキー大統領とネタニヤフ首相の「危険な賭け」の「恐るべき真意」

ガザ地区でのハマス掃討作戦を継続しているイスラエルのネタニヤフ首相と、ロシアによる侵略戦争に対抗しているウクライナのゼレンスキー大統領は、ここへきて、いよいよ危険な賭けに出たと見られる。それは、イスラエルはイランに対して、ウクライナはロシアに対して、ともに相手国が許容できないような軍事的挑発行動を発起した、という点においてである。

この両首脳は、なぜこのような行動を起こしたのであろうか。

そこにはある戦略的な共通点があり、今後の世界情勢を左右すると憂慮される極めて危険な要素が内包されている。

両首脳の戦略はいかなるもので、今後どのように推移するのか、われわれは注意深くこれを見極めなければならない。

イランは、自国内でハマスの最高幹部であるハニヤ政治局長が殺害されたことに関連し、イスラエルへの報復を宣言。ここ数日内にもこれが実行されるとの報道が伝えられている。イスラエル側は認めていないが、イランはこのハニヤ政治局長に対する攻撃はイスラエルによるものと断定しており、おそらくそれは事実であろう。イスラエルは、なぜイラン国内でこのような作戦を行ったのか。

ネタニヤフ首相は、イラン新大統領の宣誓式に招かれていたハマスの最高幹部に対してこのような行動を採れば、面子をつぶされたイランの最高指導者がどのような反応をするかは百も承知していたと思われる。したがって、イランのこのような報復宣言はイスラエルの予想通りであり、イランによるイスラエルへの軍事行動も想定内のことであろう。要するに、イランにこのような行動を起こさせるために実行した作戦行動だったと考えられる。

なぜならば、これは、イスラエルがイランを巻き込んで中東における戦火を拡大させることを狙って仕掛けられたものであり、ネタニヤフ首相は第5次中東戦争への発展も覚悟している可能性がある。仮に、このような事態になれば、米国やNATO(の少なくとも一部)の介入はもはや避けられない事態になるであろう。同首相はここを視野に入れている。

一方で、ネタニヤフ首相は、イランも米国もこのような事態は避けたいとの思惑では一致しているであろうと見越していると思われ、このような情勢判断がイランとのチキンレースを展開させるという強気の姿勢につながっているものと見られる。そして、その先には、結果的にイスラエルに有利な形での停戦につなげられるとの目算もあるのだろう。