韓国の未来 「老いた日本」の教訓(2)

AI要約

韓国の年金制度において、確定給付年金(DB)から確定拠出年金(DC)への移行が進んでおり、運用リスクや資産管理についての不安が広がっている。

引退準備の重要性と具体的な資産準備のシミュレーションが示され、早い段階からの計画が求められている。

引退後の資産管理において、仕事継続や適切な投資配分が重要であり、長期的な視野と慎重な資産運用が推奨されている。

--韓国は確定給付年金(DB)は減り、確定拠出年金(DC)が増える傾向だ。しかしDC型は個人が運用しなければならないため年金を失うこともあり不安だ。

秦氏「最近まで日本株式市場が良くなかったため、DB型はほとんど収益が出なかった。日本のDBは『キャッシュバランスプラン』といって3年、5年国債金利を基準に今年の収益率を決めるのが普通だ。国債金利がゼロだったため企業の立場では運用ハードルが低いが、職員の立場では物価上昇率にも追いつかない」。

キム氏「DC型は個人にチャンスでもあるが、損失が出れば退職金が減るリスクも覚悟しなければいけない。しかし短期投資でなく長期投資なので資産配分さえうまくすれば、収益を出すことが難しいわけではないとみる。直接資産を配分するのが難しいのなら、いくつかの会社がTDF(Target Dated Fund)という商品を多く出しているので、これを利用するのもよい」

--引退後に資産がどれほど必要かを計算したことがない人も多い。引退の準備はいつからするべきなのか。

秦氏「お金がどれほど必要かを知る前に、自分がどれほど受給できるかという点から知らなければいけない。日本政府は公的年金についてはどれほど受給できるかを公示している(韓国も統合年金ポータルで照会可能)。各自が受ける年金があれこれ合わせていくらになるかを知れば、自身の目標を定めて修正するのに役立つだろう」

キム氏「31歳に就職し、60歳に引退し、90歳まで生きると仮定する場合の年金をシミュレーションしてみた。月300万ウォンの年金を準備するには国民年金と退職年金を除いて必要な貯蓄額が30代から始めれば月42万ウォンだが、40代から始めれば月86万ウォン、50代から始めれば月237万ウォンになる。結局、入社する時点から退職の準備を始めなければいけないということだ」

--引退後、資産はどのように引き出すべきか。

秦氏「老後にはWPPが必要だ。Work(仕事)、Public Pension(公的年金)、Private Pension(個人年金)の3つだ。ところが公的年金は所得代替率が大幅に減っている。結局、できる限り長く仕事をして年金の受領時期を遅らせなければいけないということだ。100歳時代を控えて70歳までは仕事をし、元金を絶対に引き出さずに運用するべきだと考える。70歳以降は定率方式(例えば年8%ずつ)で引き出しながら可能な資産を保存し、最後は定額引き出しに変えて資産をすべて使って死ぬことを目標にするのがよい」

キム氏「引退後30年分の計画が必要だ。『元金はできる限り維持し、最大限に遅く元金を引き出す』という原則で計画を立てる必要がある。本人の目的に合わせて分散投資しなければいけない。一般的に『株式:債券:代替資産=3:4:3』で投資することを推奨するが、性向によって適正比率は変わる。引退前にはまとまった資金の準備が重要だが、引退後は明確な現金の流れが必要だ。保守的に運営するのは基本だが、インカム型(収益型)資産を増やさなければいけない」