ワグネル派2人、バスで高齢者暴行 社会の閉塞感象徴、波紋広がる ロシア

AI要約

モスクワで高齢男性がワグネル支持者に暴行される事件が発生。

事件は閉塞感を象徴し、SNSで非難の声が上がっている。

被害者はスパイ疑惑により銃殺刑に処された経歴を持ち、国の現状に失望を表明。

 ロシア・モスクワ中心部を走るバス車内で、高齢男性が民間軍事会社「ワグネル」支持者とみられる男2人に暴行される事件があった。

 男性は、創設者プリゴジン氏(昨年8月にジェット機墜落で死亡)らの献花台がある教会付近で「人殺しと侮辱した」と言い掛かりをつけられた。

 人権団体「OVDインフォ」が9日に明らかにした。ウクライナ侵攻を続けるロシア社会の閉塞(へいそく)感を象徴する事件として波紋が広がり、SNSで非難の声が上がっている。

 男性は年金生活者ドミトリー・グリンチーさん(87)。目撃者が撮影した動画によると、男2人に「ファシスト」となじられ、旧ソ連国家保安委員会(KGB)本部近くで無理やり下車の上、警察に突き出された。事情を聴かれた後に解放され、暴行した2人が逆に容疑者になったとの情報もある。

 独立系メディアによると、グリンチーさんは、スターリンの「大粛清」さなかの1930年代後半、父親が極東で「日本のスパイ」と嫌疑をかけられ、銃殺刑に処されたという。グリンチーさんは今回の暴行を受けて「人間が人間と見なされない国に生まれなければならなかったことは残念だ」と吐露した。