巨大化するクルーズ船、2000年以降でサイズ倍に 環境団体が警鐘

AI要約

クルーズ船のサイズは過去20年間で倍になり、今後さらに増大する可能性がある。

クルーズ船業界の急速な成長が環境への悪影響を懸念している。

報告書によれば、クルーズ船の二酸化炭素排出量は増加しており、問題が指摘されている。

巨大化するクルーズ船、2000年以降でサイズ倍に 環境団体が警鐘

(CNN) クルーズ船のサイズは過去20年間で倍になっており、将来的に船体がさらに巨大化して潜在的な問題を招く可能性がある――。そう警鐘を鳴らす新たな報告書が発表された。

クリーンエネルギー関係のロビー団体「欧州交通環境連盟」(T&E)が実施した調査によると、今日の大型クルーズ船は2000年に比べ倍の大きさ。T&Eは「急速に」成長するクルーズ船業界の環境への影響について警鐘を鳴らしている。

報告書では、巨大化のペースがこのまま続けば、2050年に出航する大型クルーズ船は1912年に出航した当時世界最大の客船「タイタニック」(全長269メートル)の8倍近くになる可能性があると示唆している。

T&Eで持続可能な海運を担当するイネッサ・ウリチナ氏は声明で、「今日の巨大クルーズ船はタイタニックを小さな漁船のように見せてしまう」と指摘。「こうした巨大船はあとどれだけ大きくなるのだろうか? クルーズ船ビジネスは最も早いスピードで成長している観光分野であり、その排出量は急速に手に負えなくなりつつある」と述べた。

一方、クルーズ船産業の最大の業界団体であるクルーズライン国際協会は声明で、「検証されたデータと矛盾する報告書の主張の数々」を問題視した。

特に大半の船は小~中サイズであること、EUのデータベースに掲載された排出量データではクルーズ船の排出量が過去5年間で1隻当たり16%低減していることに言及した。

T&Eによると、クルーズ船の数は70年の21隻から現在の515隻に20倍も増加しているという。

総トン数13万7276トンを誇るロイヤルカリビアンの「ボイジャー・オブ・ザ・シーズ」は99年の就航時、世界最大のクルーズ船だった。 

同じくロイヤルカリビアンが手掛ける全長365メートル、総トン数24万8663トンの「アイコン・オブ・ザ・シーズ」は七つのプールや記録的な広さのウォ―ターパークを擁し、今年1月の就航時点で世界最大のクルーズ船となっている。

だが、T&Eの報告書によれば、クルーズ船業界の近年のこうした成長スピードには代償が伴う。

報告書は、2022年のクルーズ船の二酸化炭素(CO2)排出量は19年に比べ20%近く増加したと指摘。国際海事機関(IMO)によると、クルーズ船やその他の船舶は世界の毎年の温暖化ガス排出量の3%近くを占めているとみられる。