ゲーム「バーチャファイター」に影響を与えた中国人とは

AI要約

セガのかつて国際的に人気を博した格闘ゲーム「バーチャファイターシリーズ」の主人公結城晶は、中国の八極拳の達人であり、日本のゲーム制作者と中国武術の縁を通じて世界的な人気を得た。

孟村八極拳は剛中求柔を特徴とし、清代の皇宮護衛などに多く使われていた。日本のゲーム開発者との交流を通じて、中国武術が日本のゲーム文化に影響を与え、国際化に繋がった。

八極拳は中国の国家級無形文化遺産に指定され、内面的な修練と外面的な技術をバランスよく取り入れた武術であり、30以上の国と地域に広まっている。

ゲーム「バーチャファイター」に影響を与えた中国人とは

【CNS】セガ(Sega)のかつて国際的に人気を博した格闘ゲーム「バーチャファイターシリーズ(Virtua Fighter Series)」の主人公、結城晶(Akira Yuki)は八極拳の達人であり、その動作は中国の武術の名人から取り入れたものだ。1980年代以降、日本のゲームは中国武術から多くのインスピレーションを得ており、その中国武術は日本のゲームを通じて世界に広がっている。

 孟村八極拳の故郷は、河北省(Hebei)滄州市(Cangzhou)孟村回族自治県(Mengcun Hui Autonomous County)にあり、その起源は清の雍正年間にさかのぼる。八極拳のスタイルは剛健で迅速、素朴であり、実戦を重視する。このため、清代の皇宮の護衛には多くの孟村八極拳の門人がいた。太極拳が柔中求剛(柔らかさの中に強さを求めること)を追求し、連綿とした動きを特徴とするのに対し、八極拳は剛中求柔(強さの中に柔軟さを求めること)を追求し、動静が明確だ。

 孟村八極拳の第七代継承者である呉連枝(Wu Lianzhi)氏は、日本のゲーム制作者との縁について語った。

「1984年、私が孟村回族自治県の体育委員会主任を務めていたとき、三人の客人が訪れた。その中には雑誌編集者と二人の日本人がいた。その編集者は私の友人であり、武術の習得者でもあった。日本の客人は中国武術を撮影し、それを基にリアルな格闘ゲームを開発したいと考えていた。この編集者の紹介で、日本の客人は孟村八極拳の練習場所に来て、目的を説明した後、私たちは絶えず交流し、技を交わし、さらには食事のときでさえも技を見せ合った。孟村八極拳の技術的特徴はゲーム開発の要求に非常に合致しており、日本の撮影チームは終始撮影を続け、拳法の一挙手一投足を記録していた。私は八極拳の形、精神、内面の意味、外面の表現をすべて伝えた。

 その後、彼らは五つの『バーチャファイター』ゲームを開発した。多くの若者に特に好まれ、『バーチャファイター』は一躍有名になり、一時期大流行した。ゲームで最後に勝利すると、「感謝呉連枝老師(呉連枝先生に感謝)」という文字が表示された」

 呉連枝氏は、このゲームの人気が連鎖反応を引き起こし、孟村八極拳の国際化への扉を開いたと述べた。その後、韓国の武術愛好者がこのゲームをプレイし、遠路はるばる孟村までやって来て呉連枝氏と技を交わした。中国中央電視台(CCTV)の「人物」コーナーのディレクターは最初、呉連枝を日本人だと思っていたが、調べた結果、彼が河北省孟村の出身であることが判明し、取材と報道が行われた。それ以来、孟村八極拳の名声は徐々に広まった。

 孟村八極拳は中国の伝統武術の中で特に優れた十種類の拳法の一つであり、国家級の無形文化遺産に指定されている。その技術には、力の出し方や技の動き、そして形の意義がすべて体の内部の気(エネルギーの流れ)と結びついている特徴がある。これは、中国武術が内面的な修練と外面的な技術の両方を重視し、硬さと柔らかさの両方をバランスよく取り入れていることを表している。現在、八極拳は日本、韓国、シンガポール、欧米など30以上の国と地域に広がり、フィットネス愛好者の日常生活に溶け込み、さまざまな性別、民族、国籍の人びとに愛されている。(c)CNS/JCM/AFPBB News

※この記事は、CNS(China News Service)のニュースをJCMが日本語訳したものです。CNSは1952年に設立された中華人民共和国の国営通信社です。