LA超高級スーパー「エレウォン」がカルト的な人気を得たビジネス戦略

AI要約

ロサンゼルスにある高級スーパー「エレウォン」がカルト的な人気を得ている。一杯3000円のスムージーなど、おしゃれで美味しい商品を提供し、若い米国人のニーズに合致している。

エレウォンの成功の背景には、厳しい審査を通った健康意識高い商品や色鮮やかなデリがある。カフェを重視した店舗構造と高売上げにもその理由がある。

現代の若者は外食の機会が多く、エレウォンはデリを提供するカフェを通じてその需要に応えている。若者のニーズを的確に捉えた戦略が人気の秘密となっている。

LA超高級スーパー「エレウォン」がカルト的な人気を得たビジネス戦略

米国ロサンゼルスにある高級スーパー「エレウォン」がカルト的な人気を得ている。一杯3000円のスムージーを買う客も列が絶えない。その大きな人気を得ている背景にはビジネス上の戦略があった。

噂は本当だった。絶大な人気を誇るロサンゼルスの超高級オーガニックスーパー「エレウォン」で買い物している客は皆モデルのようにおしゃれで美しい。

その美しい客たちはハイリー・ビーバーやケンダル・ジェンナーがデザインした20ドル(約3000円)のスムージー、エレウォンのロゴが付いたトートバッグを買うために次々とやってくる。まるで客はみな、芸能人やTikToker、ニポベイビー(親のコネクションでセレブの名声を得た人たち)のようだ。

米経済メディア「ブルームバーグ」によると、LAのもっとも高級なエリアに10店舗しかない「エレウォン」は、「食料品のロイヤルファミリー」とも評されカルト的な人気を得ている。2019年に投資家の資金が注入されて以降、その影響力は南カリフォルニアにとどまらない。

「エレウォン」の店内に並べられる商品は、成分や調達ルートが厳しい審査を通ったものばかりだ。海苔ジェルや、「薬用」骨スープの瓶詰めなどのいかにも健康意識高めの商品がずらっと並ぶ。

もっとも目に止まるのは色鮮やかなデリや惣菜。テイクアウト用には見えないほど高級で美味しそうな、肉厚なローストビーフサンドイッチ、しっかりとドレッシングがかかったチキンシーザーラップ、ショートリブブリトー、マカロニチーズ、スマッシュバーガースライダーなどが並んでいる。

これこそ、エレウォンがなぜここまで人気なのか? の答えだ。エレウォンが成功しここまで人気を集めているのは、若い米国人が食料品に何を求めているのかしっかりニーズを押さえているからだ。店舗にはデリを提供するカフェに多くの場所を割いていて、ここにモデルやインフルエンサーが集まり、まるでレストランのようになっていて長く滞在したくなってしまう。

エレウォンの店舗面積は一般的なスーパーに比べて10分の1程度とかなり小さい。平均的なスーパーであるクローガーの10分の1以下の大きさだ。

エレウォンの1平方フィートあたり年間売り上げは2000ドル(30万円)以上で、食料品業界の標準は約500ドルの4倍ほど。その驚くべき数値の大きな要因は、エレウォンがデリなどを販売するカフェに多くの床面積を割り当てていることにある。

現代の若者はかつてほど料理をせずに外食の機会が多く、その場でデリを食べられるカフェの需要が非常に高い。エレウォンはこのニーズに目をつけたことが絶大な人気を獲得している理由だ。

若い世代は常にオンラインで注文できるスナックや食事を探している。付加価値の高い高級品を販売するために、おしゃれで美味しいものを、おしゃれな人たちに食べてもらう戦略なのだ。