「バイデンのもうろくのおかげで」…マスク氏が上げたハリス氏の動画、ディープフェイクだった

AI要約

イーロン・マスク氏がハリス米国副大統領のディープフェイク動画をXでシェアし、懸念が広まっている。

動画はAI技術を利用して作られたもので、多くのインプレッションを記録した。

専門家は政治的な悪用が可能性があると警告しており、証拠として過去の事例を挙げている。

テスラのイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)が、自身が所有するソーシャルメディアのXでハリス米国副大統領に対するディープフェイク動画をシェアして議論になっている。現地メディアは人工知能(AI)技術が政治的に悪用されかねないと懸念する。

マスク氏は26日、Xにハリス副大統領の選挙キャンペーン動画のように見える動画を共有した。動画でハリス副大統領と似た音声のナレーションが「私ハリスはバイデンが討論でもうろくした姿を見せたおかげで民主党の大統領候補になった」と話す。また、自身が女性有色人種なため「多様性を考慮して雇用された。国家運営については何もわからない」と明らかにした。

これはAIを利用したディープフェイク技術で作られたフェイク動画だった。

マスク氏が投稿した動画は実際にハリス副大統領が選挙キャンペーンを始めながら公開した広告動画と似ている。本来の動画に登場するトランプ前大統領とバンス上院議員のイメージは削除され、代わりにバイデン大統領のイメージが追加された。AP通信によると専門家らがこの動画の音声を分析した結果、AI技術を使って作られたことが確認された。

この動画を制作したユーチューバー「ミスターレーガン」はこの動画がパロディだと明示した。だがマスク氏は何の説明もなく「すごい」という言葉とともに動画をシェアした。マスク氏の投稿は1億2600万回以上のインプレッションを記録した。

ニューヨーク・タイムズはマスク氏がXの規約に違反したとみられると報道した。Xは運営規約として「他人をだましたり混乱を引き起こして被害を誘発しかねない合成またはねつ造されたメディアや脈絡を抜け出したメディア(誤解の素地があるメディア)を共有してはならない」と明示している。

◇「AI、政治を誤導するのに活用される恐れも」

韓国でも2021年の大統領選挙でディープフェイクが話題になった。当時「国民の力」の大統領候補だった尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領は「AI尹錫悦」を公開したが、同じ姿の「偽AI尹錫悦」も登場した。大統領選挙後も尹大統領を合成したフェイク動画が拡散し放送通信審議委員会が措置に出たりもした。

AP通信は「米大統領選挙を控えて本物のようなAI生成イメージと動画が政治を誤導するのに活用される恐れがあることを見せる。高品質のAIツールがはるかに簡単に使えるようになったが使用を規制するための政府の措置は足りていない」と指摘した。

カリフォルニア大学バークレー校のデジタルフォレンシック専門家ハニー・ファリド氏は「ほとんどの人がハリス副大統領の声と信じなくても彼女の声で作られた動画ははるかに強力だ」と話した。

ハリス副大統領陣営は「われわれは米国国民がハリス副大統領が提供する真の自由と機会、安保を望むと信じる。マスク氏とトランプ氏のフィエクや嘘は望まない」と批判した。