パリ五輪の開会式で歌ったアヤ・ナカムラさん、移民社会と多様性の象徴 起用に賛否

AI要約

フランスの移民社会を象徴するアーティスト、アヤ・ナカムラさんのパリ・オリンピック開会式でのパフォーマンスが注目を集めた。

アヤ・ナカムラさんは、アフリカからフランスに移住し、世界的に成功を収めたアーティストである。

オリンピックの開会式では、アヤ・ナカムラさんが「Djadja」を披露し、フランスの多様性や共和国の理念を称賛するシーンが繰り広げられた。

パリ五輪の開会式で歌ったアヤ・ナカムラさん、移民社会と多様性の象徴 起用に賛否

夏の雨が降りしきる中で行われたパリ・オリンピック開会式。セーヌ川にかかるポン・デ・サール橋の特設ステージに現れたのは世界的アーティスト、アヤ・ナカムラさん(29)だった。大ヒット曲「Djadja (ジャジャ)」を披露し、X(旧Twitter)のオリンピック公式チャンネルは「この瞬間は、時代を超えた多様なコミュニティーから影響を受けたフランス語の統合力を祝った」と表現した。幼い頃、アフリカからフランスにやって来たアヤさん。彼女が映し出したのは、根深い人種差別問題を跳ね除けようとする移民社会フランスの姿だった。(ジャーナリスト・佐々木正明)

アヤさんは日本を彷彿させる名前だが、日本人との血縁関係はない。幼少の頃、フランス語圏のアフリカ・マリからフランスに移住し、2014年にフランス音楽界で頭角を現した。アヤは本名。当時、流行っていたテレビシリーズ「ヒーローズ」の登場人物、ヒロ・ナカムラにインスピレーションを抱き、以来、アーティスト名をアヤ・ナカムラとした。

2018年にリリースしたセカンドアルバム「NAKAMURA」に収容された「Djadja」は世界中で大ヒットし、YouTubeのミュージッククリップの視聴回数は9.7億回を記録。アヤさんは世界のインフルエンサーとなった。

オリンピックの夏季大会史上初めて屋外で行われたパリ大会の開会式。ユネスコの世界遺産となっているセーヌ川で、各国選手団は船にのってパリの街をパレードした。近代オリンピック誕生の父となったピエール・ド・クーベルタン男爵はパリの出身だ。2024年パリ大会組織委員会のトニー・エスタンゲ会長は「オリンピックがパリに戻ってきた」と言った。

式典はいくつかの場面にわかれて行われた。アヤさんが登場したのは式典中盤の「ÉGALITÉ」(平等)のシーンだった。「ÉGALITÉ」はフランス共和国建国の理念の1つである

夕闇迫るポン・デ・サール橋に、普段は政府庁舎などを警護しているフランス共和国親衛隊がマーチを演奏しながら現れた。その間を聖火トーチを持った謎のマスクマンが通り過ぎる。マスクマンは橋の中央にあった装置に聖火で火をつけると、橋をはさんで対岸にあるフランス学士院の歴史的建造物の屋根に設置された大型花火が次々に点火された。

そうして、フランス学士院の入り口から現れたのは6人のダンサーとアヤさん。金色のゴージャスな衣装に身を包み、ゴールドカーペットを練り歩いてダンスを披露した。橋の上で共和国親衛隊と合流すると、一緒に「Djadja」を歌ってパフォーマンスを行い、最後は親衛隊のメンバーと一緒に右手で敬礼して見せた。